「今年は、暖冬?」気象予報士が解説!寒い冬になる年の特徴・日本に雪が降る仕組み (1/2)
今シーズンは、暖冬?寒冬?寒い冬になりやすい年の特徴を気象予報士が解説。日本海側と東京では雪が降る仕組みも違います。関東は暖冬でも大雪の恐れあり!歴史に残る記録的な大雪も紹介。
こんにちは。生き物好き&占い好きな気象予報士の金子大輔です。
各地から初雪や初氷の便りが目白押しで、街のイルミネーションもクリスマスモード、もうすっかり冬です。
冬と言っても、より寒さが厳しい寒冬と比較的暖かな暖冬があります。
これらは一体何が違うのでしょうか。
そして、今シーズンはどうなるのでしょうか。
過去、空前絶後の寒さで、文字通り日本中を震え上がらせた大寒冬がいくつかあります。
まずは、1984年(昭和59年)。
全国的に、豪雪で気温が低く、東京ですら29日もの降雪を観測しています。
うち4回は、大雪警報まで出ました。
東京の総積雪量92センチは、驚異的!
記憶に新しい2014年の大雪を経験してもなお、1984年は伝説であり続けるのです。
また、1963年(昭和38年)は、「三八豪雪(さんぱちごうせつ)」として歴史に名を残しています。
雪国は言わずもがな、九州までも深い雪に埋もれ、陸上自衛隊による消雪活動や、火炎を用いて雪を融かすという方法が試されたということです。
1980年~2017年までの冬を、暖冬と寒冬に分けてみました。
東京の12~2月の平均気温を基準にして分類しています。
では、どんなときに寒冬になりやすいのでしょうか?
ばっちり予想するのはなかなか難しいのですが、いろいろな説があります。
まず、晩秋が暖かいと危険です。
寒気には波があり、大陸にたまっていく時期と南の方に吐き出される時期があります。
晩秋に暖かいということは、大陸に寒気が蓄積されている時期であることを示唆し、真冬になってドバっと日本付近に寒気が流入する可能性があるのです。
日本付近には、「気団」と呼ばれる巨大な空気の塊が何種類かあります。
「冬」をもたらすのは、大陸からのシベリア気団です。
シベリア気団が発達し、張り出しが強いと寒冬になります。
地球全体では、ペルー沖の水温が低くなる「ラニーニャ現象」が起こると、寒冬になりやすい傾向にあります。
2006年(平成18年豪雪)も、ラニーニャ現象下で起こっています。
その他、「太陽活動が低下し黒点が減ると、寒冬になる」とも言われています。
身近なところでは、カマキリが高いところに卵を産むと寒冬になるとか、クマケムシ(シロヒトリなどの幼虫)の体の模様に変化が出るといったユニークな説もあります。
下の写真ではわかりにくいのですが、クマケムシは背中に縦線があり、その線が太いほど冬が寒くなるのだとか。
見かけたら、ぜひチェックしてみてください。
熊毛虫(クマケムシ)
では、過去の総積雪量を、東京と高田(新潟県上越市)で見てみましょう。
高田では「寒冬には積雪が多く、暖冬は少ない」という傾向が顕著に表れていますが、東京は必ずしもそのようになっていません。
暖冬の2014年や1998年にも、積雪は多くなっています。
これは、高田と東京で、雪の降る仕組みが異なっているからです。
高田では、西高東低の冬型の気圧配置になったときに雪が降ります。
冬型になると大陸から北西の風が吹き出し、この風が日本海で水蒸気と熱を得て、積雲や積乱雲を量に発生させます。
この雲が押し寄せる日本海側(高田など)では、連日雪に見舞われますが、山を越えると雲が消えてしまうため、太平洋側の東京などは乾燥した晴天が続きます。
西高東低の気圧配置が強まるということは、シベリア気団が発達し、寒気が強く噴き出していることを示します。
このために、高田では「寒冬=豪雪」という関係が成り立つのです。
一方、東京などで雪が降るのは、低気圧が近づいたときです。
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生き物が大好きな気象予報士&教員&物書き&占い師。生き物はゴキブリも含めすべて好きで、生き物と天気については話し出したら止まりません。ディズニーランド好き、絶叫系好き、激辛好き。
著書
『こんなに凄かった! 伝説の「あの日」の天気』
『気象予報士・予報官になるには』
『気象予報士 (シリーズ“わたしの仕事”)』
『世界一まじめなおしっこ研究所』
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