それ、本当にモンシロチョウ? 似ていて間違いやすい身近な蝶たち
見間違えやすい、似ているチョウ(蝶)を紹介。よく見かけるモンシロチョウも、実は違う種類だった…なんていうことも。アゲハチョウ、クロアゲハにも、紛らわしいそっくりさんたちがいるんです!
こんにちは。生き物好き&占い好きな気象予報士の金子大輔です。
今年は春の訪れが早く、東・西日本では汗ばむ陽気の日も出てきましたね。
それに伴って、さまざまなチョウも飛び始めています。
身近に飛んでいるチョウたちの中にも、ひょっとしたら、とんでもない珍種が紛れているかもしれません。
春になると、モンシロチョウが飛び始めますね。
モンシロチョウは、全国でごく普通に見られる白いチョウです。
幼虫がアブラナ科の植物を食べる「アオムシ」であるため、”モンシロチョウといえば、菜の花畑”というイメージがあるのではないでしょうか。
【モンシロチョウ】
※Wikimedia Commonsより引用
子どもの頃、チョウを追いかけた経験のある方も多いでしょう。
モンシロチョウだと思って捕まえてみたら、なんとなく違和感が…。
そんなことは、ありませんでしたか?
実は、白いチョウは、モンシロチョウだけではありません。
よく似た「スジグロシロチョウ」というチョウもいるのです。
スジグロシロチョウもモンシロチョウ同様、全国に見られ、菜の花畑を好みますが、やや日陰を飛ぶ傾向にあります。
飛んでいるところを見ただけでは、まず区別はできません。
さらに春であれば、季節限定の「ツマキチョウ」も混じっているかもしれません。
ツマキチョウも、飛んでいる姿はモンシロチョウにそっくりです。
※ツマキチョウの写真は、Wikimediaより引用
白いチョウばかりでなく、アゲハチョウにも紛らわしいそっくりさんがいます。
アゲハ(ナミアゲハ)とそっくりなのが「キアゲハ」です。
虫好きな方でも「アゲハ=キアゲハ」と認識していることすらあります。
飛んでいる姿は、両者そっくりですが、幼虫は違います。
ナミアゲハが柑橘類の葉を食べるのに対し、キアゲハはニンジンやパセリの葉を食べます。
姿もまったく異なりますね。
【左】アゲハ幼虫、【右】キアゲハ幼虫
※キアゲハ幼虫の写真は、Wikipediaより引用
黒いチョウにも、紛らわしいものがいます。
クロアゲハが最も一般的ですが、ときおり「オナガアゲハ」や「ジャコウアゲハ」、さらには「カラスアゲハ」という珍種が混じっていることがあります。
姿はそっくりですが、クロアゲハは飛び方が速いのに対して、ジャコウアゲハやオナガアゲハはやや緩やかに飛びます。
また、地球温暖化の影響か、1960年頃には四国~中国地方以西にしかいなかった「ナガサキアゲハ」が、現在は東北地方南部にまで分布を広げています。
都内でも、「クロアゲハかと思ったら、ナガサキアゲハだった」という報告が増えています。
【クロアゲハ】
【左上】オナガアゲハ、【右上】ジャコウアゲハ
【左下】カラスアゲハ、【右下】ナガサキアゲハ
※オナガアゲハの写真は、Wikimedia Commonsより引用
なお、私が、東京の江戸川区で初めてナガサキアゲハの幼虫を確認したのは 2007年です。
ナガサキアゲハの幼虫は、ナミアゲハ同様、柑橘類につきます。
【ナガサキアゲハの幼虫】
昆虫は非常に種類が多く、地球上で数百万種とも数千万種とも言われます。
どんどん新種が見つかるうえ、熱帯多雨林には多くの謎が残っており、正確な種数は誰にもわかりません。
そのため、同定(種を特定すること)はとても難しいのですが、それが昆虫のおもしろい面でもあります。
種類が多いからこそ昆虫採集は愉しく、ハマってしまって昆虫採集に振り回されるような一生(?)を送る人が後を絶たないのです。
中には肉眼では区別がつかず、生殖器を解剖して顕微鏡で見なければならないというような種も、昆虫には見受けられるのです。
このため、普通種だと思っていたら、実はとんでもない珍種だったとか、その都道府県では初めての採集例だった、といったケースが報告されることがあります。
また、ナガサキアゲハの例だけでなく、温暖化や外来種進出などで、過去に見られなかった種がいきなり紛れていることもあり得ます。
あなたが見ている虫は、本当に普通種ですか!?
身近にとんでもない珍種が紛れているかもしれませんよ。
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![金子 大輔](https://lattepictures.s3.amazonaws.com/u_d3/hc/qp/q2/4b/kf/dk/ce/sk/ie/jk/v6/eu/ug/5e/uv.png?Signature=F7eaHQjxayZezwoKcIT5XMx5HM8%3D&Expires=2115561661&AWSAccessKeyId=ASIAW2CT5TJQ7U5VW42Y&x-amz-security-token=IQoJb3JpZ2luX2VjEPX//////////wEaDmFwLW5vcnRoZWFzdC0xIkgwRgIhAIMv7fNPwsJ3GVRZX5ABdVLE0gspXC6gQ6pfTz3ZMMkXAiEA6VqnBn2obIk8MjAFKMC2qZw4Hp9a2NA6caPdEorF3jsqywUIrv//////////ARAEGgw0NjgzMjc0Mzg5NDUiDHYEFAsBKxMuSzfQWyqfBaFcqn808ObffyhMpnwk0uCzt5aLjkHTWgtky/%2Bsm%2BTkH0U5gFZAsVlc7rNENqQl%2B/7gLnZXjwIv/pfe1WU5qlXD%2BOrtB0%2BR4GlMRW/eu%2B2tqMO%2Blq3KD35ay5HPpuG6NQ8riL/328JVYk7h%2B7YOIq1pU/m/cbXbejHQJh3ANYLpp8htWB15U2LwO3Asd%2BzQYkS0sbOBchd/V1iroSBFc17uE5IhJzp7/3Mxlh20VCVMiXsOUNDfsuIcTPTbCZnsoQ7UHGN%2Bsv5GldpL9p2BL3eK3L1IuMe9rDhqsYR/7hIiM9Ruf2iNtEEn34u2xrPi0kkXQyftP4gIezFU8fFVj8ewXCXvhqOEQ05VMqrAzM6ihUovD7DeaJeJq2vdo1pyX0iz5hYeeZTle%2BwLa4Tfg6K7Jt0AUoHm3PpjnxvOlgh%2BspyAjZe5kIPdzK92pLanNMXRIOHJum8uOHu465EkCXQV1oMwf6Ovs0GVThtG7g2oSebkZBRp2ty6bhkvlQnXs7gX0nhZL2mP4gpeBQzAo4MBqAjpoPUtX6Sq0zspFNGkMKRaH0z4Y5av8itcdeBZBUYWcGVnxXEW%2BJK7st8AfcQyjef7bhhyDEJluCOnBmLG%2BqDf5Fl5A2jtQ3JmbIBg9u9N880eT6QLx47/cdZC8BEe8hrvwVGxS5FEudD/GeCL4FWYEjfYfSmygQh7WL9Z5LzbKA/IbPNWEbi6pbOyrtzbiyh30HvA0gN5VlVnxNobkqncFiOwH2rLuoeFotSO3AJOxrGZe3JAb7sERNvg3n%2BAOVyeDcd2VnO1pKDN39h3tMZr7Qslod1obsVAY0hqCnHnSPBm4GFfyvJZMxlJ0OMgO0Ggrq71y17GPResct7uiMrF7IJpOvQpDItxFjAkMMWcnLQGOrABUGX78gdUs5xV8lGPSYMZuhM/YKBcHGzOAlWVrG0d3%2BKd0jRM4P5w9OK/DqFE5loyZ/BYucPfmFlMBCYKF3wpIvx/2HElWc5gLHJeDE/iFC%2BnCwZl7ZA1wWjMhXS38ke7gj7x0QjrH2UeLOByR18S9TMmTT7eOurPKIMF%2Bg4ro9VNIQ/98EczlzD4JXrssunuHTAlm2WWKyFhpd1Ff/nvIbuEMBuoNrqbk52LEVZw%2B04%3D&3)
生き物が大好きな気象予報士&教員&物書き&占い師。生き物はゴキブリも含めすべて好きで、生き物と天気については話し出したら止まりません。ディズニーランド好き、絶叫系好き、激辛好き。
著書
『こんなに凄かった! 伝説の「あの日」の天気』
『気象予報士・予報官になるには』
『気象予報士 (シリーズ“わたしの仕事”)』
『世界一まじめなおしっこ研究所』
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