事故が目につく「オスプレイ」。どんな航空機なのか、ざっくり解説!
飛行反対や事故の報道が多い「オスプレイ」。一体どのような航空機なのか、分かりやすく説明。名前の由来・製造国・性能・任務・特徴や、気になる事故率など、まとめてみました。
飛行反対や事故の報道が多い「オスプレイ」。
今回は、一体どのような航空機なのかご紹介したいと思います。
「オスプレイ」と呼ばれているこの航空機ですが、実は、その名前は愛称です。
正式な機体名称は「V-22」と言い、その愛称が”オスプレイ”というわけです。
なお、英語であるオスプレイ(Osprey)とは、日本語にすると、猛禽類でタカの一種の”ミサゴ”を意味します。
日本でも見ることができる鳥ですよ。
【 MV-22:オスプレイ 】
wikipediaより引用
オスプレイの製造国はどこ?
ご存知の通り、アメリカ軍(海兵隊・空軍)で使用しているので、アメリカ製の航空機です。
開発・製造は、アメリカのヘリ製造メーカーである「ベル・ヘリコプター社」と、航空機メーカーのボーイング社系の会社である「ボーイング・ロータークラフト・システムズ社」が共同で開発した機体です。
今までの米軍の主力大型ヘリCH-47(愛称:チヌーク,意味:北アメリカのネイティブアメリカン部族のチヌーク族から命名 )と機体スペックを比べてみると、オスプレイの性能の長所が分かります。
- 航続距離 約5.6倍(3900km)
- 速度 2倍(529km/h)
- 輸送要員数 2倍(24名)
- 荷物等裁量 約3倍
【 CH-47:チヌーク 】
wikipediaより引用
オスプレイの主要な任務は輸送任務であり、通常の輸送機や輸送ヘリと区別するためか、報道などでは「新型輸送機」と呼ばれることが多いですね。
現在は、アメリカ海兵隊とアメリカ空軍で運用され、海兵隊仕様のオスプレイは「MV-22」、空軍仕様は「CV-22」と呼ばれます。
Mの意味は他説ありますが、多用途機(Multipurpose)または、海兵隊(Marine)のMを意味し、Cは輸送(Carrie)を意味します。
Vですが、航空機の垂直離着陸を意味するVTOL(Vertical Take-Off and Landing)のVを示していると言われます。
上記で「オスプレイは飛行機とヘリ両方の性能を持っている」とご説明しました。
それを聞いて、「オスプレイは飛行機なのか?それともヘリなのか?」という疑問が湧いた方もいらっしゃるでしょう。
その答えですが、翼(固定翼)を持っているため、航空機の分類上はずばり「飛行機」となります。
ヘリは、固定翼を持たず、ローター(回転翼)のみです。
オスプレイの大きな特徴は、垂直に離着陸できることにあります。
運用の条件の制約はありますが、ヘリのように垂直に離着陸する性能を持ちながら、飛行時は普通の航空機のように飛行できるため、普通の航空機のように滑走路が必要なく、一定のスペースがあれば運用が可能なのです。
航空機の仕様としては、固定翼機とヘリの性能をもった”いいとこ取り”の航空機で、画期的と言えますね。
「事故が多い」とのイメージがあるオスプレイ。
報道されるたびに、「またか」と思う人も多いようです。
では、オスプレイの事故率を、その他の航空機と比較してみましょう。
事故率は、一般的に「飛行時間10万時間当たり、何件事故が発生しているか」で表されます。
防衛省が発表した、2012/9/1の”MV-22オスプレイ事故率について”との報告書では、オスプレイの事故率は1.93%でした。
一緒に公開された他の航空機の指標と並べてみます。
- オスプレイ:1.93%
- 垂直離着陸戦闘機であるAV-8B(愛称:ハリアー):6.76%
- 大型輸送ヘリCH53D(愛称: シースタリオン):4.15%
※ アメリカ海兵隊の全ての航空機の平均:2.45%
【 AV-8B:ハリアー 】
wikipediaより引用
【 CH53D: シースタリオン 】
wikipediaより引用
参照情報:防衛省ホームページより
防衛省の取組 > 日米安全保障体制 > オスプレイについて「MV-22オスプレイ事故率について」
http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/osprey/pdf/dep_5.pdf
防衛省の見解としては、アメリカ海兵隊が持つどんな航空機より事故率は低いとの見解のようですね。
また、事故率のデータを見る限りでは、一概にオスプレイの事故率が高いとは言えませんね。
ただ、この先オスプレイの配備・運用が拡大していくと事故率は上がる可能性もあり、今後も注目していく必要がありそうです。
オスプレイの生産機数ですが、これまで約350機と言われています。
アメリカ国防総省では、458機のV-22を調達することを計画しているそうです。
アメリカ海兵隊・空軍への配備が進められており、うち、アメリカ海兵隊では、沖縄の普天間基地に24機のオスプレイが配備されています。
自衛隊でも、オスプレイの配備予定が進められています。
陸上自衛隊が佐賀空港を拠点とし、2019年から配備の予定とのことです。
平成27年度の防衛省の予算では、オスプレイ5機の取得費として516億円が計上されています。
実際に米軍のオスプレイを使用して、海上自衛隊の護衛艦への発着訓練も行われているようですね。
2016年に発生した熊本地方の地震で初めて、普天間基地所属の2機のオスプレイが災害支援に導入されたのをご存知の方も多いのではないでしょうか。
自衛隊と協力して、支援物資に搬送支援を行いました。
今後自衛隊への配備が進むにつれて、大規模災害時でのオスプレイの使用も多くなるかもしれませんね。
これは、ありえない”もしも”の例えになりますが、もし、オスプレイが民間機として開発されていたら、巷の反応はどうでしょう?
あえてコメントは避けますが、やはり現在とは違った捉え方・評価になったのではと思います。
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