【飛行機のはなし】世界一の長距離路線は? 現役CAさんに聞いた「おすすめの機内での過ごし方」
飛行機に乗っている時間が一番長いフライトは?現在の世界最長路線を紹介。また、快適なロングフライトにするための、機内の座席の選び方や機内での過ごし方も紹介。現役のCAさんから時差ぼけについてのアドバイスも。
日本から海外へ、2時間程度の近距離のフライトもあれば、10時間を越える長距離のフライトもありますね。
特に国際線の長距離路線を利用する場合、みなさんは機内でどう過ごされますか?
今回は、世界で一番フライト時間が長い路線についてお話ししたあと、長距離フライトのときの座席の選び方、機内で快適に過ごすコツなどもご紹介します。
現在の世界最長の国際旅客定期便は、どの路線かご存じでしょうか?
それは、2017年2月にカタール航空が就航させた、オークランド発ドーハ行のQR921便です(2018年4月現在)。
- 飛行距離…1万4535km(7844海里,9034マイル)
- 飛行時間…17時間40分
2018年には、さらに長い距離のシンガポール航空のシンガポール~ニューヨーク便が就航予定です。
- 飛行距離…1万6700km(9012海里,10380マイル)
- 飛行時間…18時間45分
また、オーストラリアのカンタス航空は、2020年までにシドニー~ロンドン間の直行便就航を目指しています。
この路線が実現すれば、こちらが世界最長になります。
- 飛行距離…1万7000km(9174海里,10566マイル)
- 飛行時間…20時間
では、日本発の最長路線はどこでしょうか。
■西方面行き
西方面行きは、スペインのイベリア航空が運行する、成田発マドリード行のIB6800便です。
- 飛行距離…1万932km(5900海里,6795マイル)
- 飛行時間…14時間15分
■東方面行き
一方、東方面行きは、ANAが運行する、成田発メキコシシティー行のANA180便です。
- 飛行距離…1万1267km(6080海里,7003マイル)
- 飛行時間…12時間25分
*同一路線にアエロメヒコ航空が就航しており、こちらの飛行時間は12時間55分
飛行機の性能向上により、今まで実現できなかった都市間の直航便が増える傾向にあります。
昔の座席のシートは、ファーストクラスやビジネスクラスでも、180度フラットには倒せませんでした。
ですが、最近は、ファーストクラスは個室的な空間でフルフラットシート、ビジネスクラスも180度フルフラットになるシートが多いですね。
エコノミーについては、さすがにフルフラットにはならないまでも、前後のシート間隔が広くなり、以前のような詰め込みで窮屈な感じはさほどしません。
また、航空会社によっては、ビジネスとエコノミーの中間に当たる「プレミアムエコノミー」といったシートも提供されています。
下の写真は、ANAの各シートの一例です。
出典:ANAの公式サイトより https://www.ana.co.jp/ja/jp/serviceinfo/international/inflight/guide/f/seat/
現在、日本の航空会社では採用されていませんが、ANAが2019年に成田~ホノルル線に就航させるエアバスA380に、「カウチシート」と呼ばれるシート(ANA COUCHii)が提供されます。
カウチとは、フランス語で“寝そべる”という意味です。
利用者の人数に応じた追加料金で、座席のレッグレストを上げて、ベッドのようにフラットにして利用することが可能な座席です。
カウチシート(ANA COUCHii)
出典:ANAの公式サイトより https://www.ana.co.jp/ja/jp/promotions/airbus380/
ANAによると、このカウチシートが60席提供されるとのこと。
「横になって寝たり、足を伸ばして寛いだりしたい!でも、そんなにお金は出せない。サービスはエコノミーと同じで十分」という考えの人には魅力的ですね。
子ども連れの場合も、ちょっとした余裕のスペースがあると助かることでしょう。
国際線になると、フライト時間が10時間を超える路線も多いですよね。
この場合、どこの座席を選べば良いのでしょうか。
もちろんその人の好みもあるでしょうが、よく選ぶ際のポイントとされているのが、「トイレへ行く際に邪魔されたくない・邪魔したくない」というものです。
窓際は、窓から外が見えて良いですが、天候によっては一面雲の絨毯といった単調な景色が続くこともあります。
トイレに行こうとすると、隣、またはその隣の人を乗り越えていかねばなりません。
隣の人が熟睡していると、起こすのも気が引けますね。
そんな方におすすめなのは、やはり通路側の席です。
これなら、トイレに行く際に気兼ねする必要もないですね。
出張慣れしたビジネスマンは、通路側の席を確保することが多いそうです。
窓側と通路側の席について、各メリット・デメリットを簡単にまとめてみました。
座席を選ぶ際の参考にしてくださいね。
【窓側の席】
メリット
- 何より、窓から景色が見える
- 隣席の人に起こされる心配がない
デメリット
- トイレなどで席を立つ際に、隣席の人に声を掛けないとならない
- 頭上の物入れの出し入れが面倒
【通路側の席】
メリット
- 隣席の人に気を使わず、通路に移動できる
- 頭上の物入れの出し入れがしやすい
デメリット
- 窓から景色を見るには向かない
- 窓際席の人が通路に出る場合、席を立たなければならない。寝ている際に起こされる可能性大。
エコノミーシートには、どうしても「隣席が気になる」「足元が狭い」という印象がありますね。
ですが、そんなイメージを払拭する座席があるのです。
その座席は、ドア付近の非常口前の座席です。
この座席は足元が広く、立ち座りに隣の人を気にする必要がありません。
ただし、非常の際に乗務員のアシストをする必要が出てくるため、航空会社によっては、英語を話せる人でないとダメといった条件もあるようです。
また、デメリットとして、荷物を足元に置けない、個人モニターが小さいといった面もあります。
一例ですが、下図のシートマップの赤く囲われた座席が該当します。(ANA ボーイング777-300ERの座席配置)
長距離フライトで、狭い機内の中で長時間過ごすのはストレスですよね。
長時間座りっぱなしでは、エコノミー症候群になる可能性も大きいです。
それを防ぐための軽めの運動も大事です。
機内を歩く、座席で足踏みをするといったように、定期的に足を動かすようにしましょう。
機内は乾燥しているので、何より水分補給をすることが大事です。
美肌をキープしたい女性は特に、保湿もお忘れなく。
お酒が好きな人は、飲み過ぎに注意しましょう。
機上は地上より気圧が低いため、酔いがまわるのが早いのです。
いつもより、お酒は控えめに…。
機体のシートは一般的に、機体前方からファーストクラス、ビジネスクラス、機体後部がエコノミークラスです。
では、もしも事故が起きた場合、どの席が安全なのでしょうか?
実際に過去に発生した事故から、機体の場所ごとの生存率を調べた結果、下の図のようであることがわかりました。
機体前方より、後方つまり、エコノミークラスの方が生存率が高いのがわかると思います。
出典:Popular Mechanic http://www.popularmechanics.com/flight/a1918/4219452/
搭乗する機材を選べるなら、極力新しい機材をおすすめします。
最新の機材ですが、ボーイング機では787、エアバス機ではA350など、従来アルミ合金でできていた機材が炭素繊維複合材でできています。
これにより、従来機は機内湿度が1%台でしたが、787やA350では、20%~25%ほどまで上がっています。
また、機内与圧も従来機より弱いため、同じ路線を従来機で飛ぶ場合と比べ、身体に掛かる負担が少なくなります。目的地に着いて、最初に発する言葉が「あぁ~、疲れた!」ではなくなるかもしれませんね。
何より「寝るに限る!」という方も多いですが、最近は、エコノミークラスでも、個人モニターが付いたシートを提供している航空会社も多く、機内での過ごし方もさまざま。
いろいろなエンターテインメントが提供され、長時間のフライトでも飽きない工夫がされていますよね。
また最近は、機内Wi-Fiが無料で使えるサービスもあるので、メールやインターネットを楽しむという方も多いでしょう。
今回、現役のCAさんから、機内での過ごし方などについてアドバイスをいただきました。
旅慣れた方は、飛行機に乗り込んでから現地時間で活動される方が多いように思います。
とはいえ、うまくお休みになれない方も多いと思いますが、そんなときにおすすめしているのはアイマスクです。
機内では、アイマスクをリクエストいただければご用意しております。
アイマスクをするだけで目が休まりますし、いつしか眠りにつくことも。
ついスマートフォンなどを手にとって触ってしまいがちかと思うのですが、「休む」と決めて周りの雑音が入ってこないように環境づくりをするのも手だと感じています。
私自身が時差ボケ対策として行っていることをご参考までにご紹介します。
時差ボケがつらいときには、思い切り運動することを心がけています。
「眠い…」とお昼間に寝てしまうと時差ボケに繋がりますので、無理にでも起きて近所をお散歩したり、ヨガをしたりと、適度な運動を心がけています。
眠れないときには眠れないことをあまり気にせず、心地よい音楽を聴いて過ごしています。
温かいものは必ず召し上がることをおすすめします。
機内は意外と冷えていますので、温かいお茶やスープなどを召し上がっていただきたいです。
長距離フライトでの機内の座席、機内での過ごし方などをご紹介しました。
みなさまの旅行のアドバイスになれば幸いです。
※本サイト上に掲載されている写真の一部は、ANAからの使用許可を得て掲載しています。
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