漢方薬剤師が解説!生姜や大根おろし、唐辛子…「薬味」の効果効能
生姜や大根おろしなど「薬味」の効果・効能を紹介。料理に添えられた薬味には、彩りや味を良くするほか身体の調子を整える目的もあったのです。ただの飾りだと思って食べないのはもったいない!生活の知恵を学びましょう。
こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。
みなさん、料理に使われているショウガや唐辛子など「薬味」と呼ばれるものを食べていますか?
薬味とは、料理に添える香味野菜・香辛料のことです。
特有の香り、ピリッとした辛味、または酸味などによって料理の味を引きたてる役割があります。
では、なぜ薬味と呼ばれるのでしょうか。
それは「料理に加えると薬になるものだから」と言うことができます。
もし、ただの飾りや彩りのためだろうと思って食べていなかったとしたら、非常にもったいないことをしているかもしれません。
生姜は、お腹を温める、またはお腹が冷えるのを防ぐ効果が期待できます。
ですので、そうめんや冷ややっこなどの冷たくして食べる料理の薬味として定番です。
また、焼きナスを食べるとき、醤油におろし生姜を添えたり、ナスの煮浸しや揚げ出しにも生姜を乗せたりしますよね。
ナスと非常に相性が良いのが生姜です。
ナスは、体を冷やす性質の強い食材。
夏に食べるナスは、夏バテ予防になるため良いのですが、秋の涼しい時期で、特に冷え症の人は、ナスは控えめに食べた方が良いとされます。
子宮を冷やしてしまって子宝に影響すると困るので、「秋ナスは嫁に食わすな」とも言われます。
ナスに生姜を合わせれば、体が冷えるのを抑える働きをします。
唐辛子の辛味も、やはり胃腸を温めます。
消化を助けたり、食欲を増したりする効果が期待できます。
白菜やきゅうりの漬物には、唐辛子を入れることが多いですね。
これは、唐辛子には防腐作用があるためですが、それだけではありません。
白菜やきゅうりだけだと体を冷やしやすいので「辛味を加えて胃腸の冷えを予防する」というバランスを考えた良い組み合わせでもあります。
うどんは早食いしてしまうので、胃への負担を減らすためにも七味唐辛子が適しています。
消化を助けるので、油を使う料理に唐辛子は合います。
餃子には、もちろんラー油です。
パスタ料理などでも、唐辛子(鷹の爪)が合います。
特にトマトソースに唐辛子の辛味を加えるのは、味の相性だけでなく、体を冷やしやすいトマトとの相性にも優れています。
大根おろしには、様々な消化酵素が含まれています。
また抗酸化作用もあります。
油分の多い料理(例:天ぷら、しゃぶしゃぶなど)や、焼いてコゲがあるような料理(焼き魚やハンバーグなど)とも相性が良い薬味です。
上記の例もそうですが、その他の香辛料も一般的に胃腸を温める、胃腸の働きを高める効果があります。
油分の多い料理に、よく添えられています。
- うなぎの蒲焼 × 山椒
- トンカツ × カラシ
- ソーセージ × マスタード
- トロ × ネギ
- 肉 × ニンニク など
香辛料は、細菌の繁殖を防ぐために活用されてきました。
塩漬け、ワサビ漬け、辛子明太子などの保存食。
ご飯にシソを使った梅干し。
生の魚(刺身、寿司)には、わさび・ショウガ・シソなどが必須となっています。
これらも、食中毒を予防するための薬(薬味)ということができます。
また、香辛料は辛いだけでなくて、特有の香りを持ちます。
香辛料の良い香りは、気分を発散させる効果が期待できます。
気疲れしているとき、ストレスの感じているときには、香りの刺激で元気をもたらしてくれます。
さて、香辛料は苦手だからと除けていた方でも、料理に添えられていたらちょっと食べてみようという気持ちになったのではないでしょうか。
辛みの刺激は、少量で効果があります。
摂り過ぎても逆に体を害することがあるという点でも薬と似ていて、辛味の刺激が強すぎると、胃の粘膜を荒らしてしまいます。
たくさん食べようとするのではなく、美味しいと感じるくらいで味わってください。
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