春の不調、予防は”冬”から始めるのが正解!東洋医学的「冬の養生法」
春先にアレルギーや花粉症などで体調不良になりがちな人や、気温変化に弱い人は、東洋医学の考え方を取り入れて冬を過ごしてみませんか?冬の生活を見直すことが、春の不調の予防に繋がる体質改善の第一歩です。
こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。
春先にアレルギーや花粉症で体調不良になりがちな人、気温変化で倦怠感を感じたり、風邪をひきやすかったりする人、いますよね。
そんな方は、ぜひ冬の生活を見直してみてください。
カゼをひいてしまうのは、学校や職場でウイルスが蔓延するのが原因なのか。
花粉症になるのは、飛散する花粉が悪いのか。
ですが、カゼのシーズンであっても、いつもカゼをひかず元気な人がいます。
また、同じ花粉の量が飛散している地域にも、「花粉症の症状がひどい人・症状がかるい人・まったく平気な人」がいます。
それはなぜでしょうか?
西洋医学の治療「薬で症状を一時的に抑える」
西洋医学では主に、カゼをひいたら風邪薬で、花粉症なら抗アレルギー薬で、対処しようとします。
それは、症状を一時的に抑えることが目的です。
つまり、西洋薬の考え方は、症状をいかに抑えるかという点を重視して進歩しています。
一方、症状の出る人と出ない人の違いがあることに注目して、花粉やウイルスにあたっても症状が出ないような体質になるにはどうすれば良いのか、と考えてきたのが東洋医学です。
直接目には見えない「気」が、あなたの体を守っている
現代医学では、「免疫力」や「抵抗力」「治癒力」と言いますが、東洋医学では、直接目には見えないものは“「気」のはたらき”と考えます。
ウイルスや花粉など、体に侵入して病気を起こさせる悪いものは「邪気(じゃき)」の仕業と考えます。
それに対して、体の皮膚や粘膜など体表面で、その邪気の侵入を防いでいるのは「衛気(えき)」という力です。
衛気がしっかりしていれば、感染を防ぐことができます。
また、体に侵入してしまった邪気と闘って、病気を起こさせないようにする力が「正気(せいき)」です。
正気が十分にあれば、発症しても症状が軽くて済みます。
衛気は、人をお城だとすると城壁のようなものです。
壁が崩れていたり、門が開けっ放しだったりすると、敵が簡単に侵入できてしまいます。
正気は、兵士です。
強い武器を持った頑強な兵士が城内を警備していると、敵が侵入しても恐ろしくありません。
いずれも、体に中に良い「気」が十分に蓄えられていることが重要です。
体に中に良い「気」を充実させるためには?
人が体に蓄えている「気」は、生まれもって備わっている生命力のような先天的な「気」と、日常的においしい食事やきれいな空気などから得られる後天的な「気」とがあります。
気を充実させるためには、まず気をムダに消耗しすぎないこと。
また、食事からしっかり栄養を摂って、気を補充することが必要です。
冬は寒気(かんき)が襲います。
暖かい時期に比べ、活発に活動するのが大変な季節です。
植物は葉を落とし、春に備えてじっとエネルギーを蓄えておきます。
ムダに花をつけて咲き誇ろうとはしません。
動物も、やはり冬は活動が鈍くなります。
積極的に食料を得ようとするのではなく、代謝を下げエネルギー消費を抑えます。
しっかり栄養分を蓄えたあとに、暖かくなるまで冬眠する動物もいます。
人も、植物や動物と同様です。
冬の養生法は、基本的には自然を見習った生活をするのが理想的です。
- 冬は夜が長いので、早く寝てゆっくり起きる。
- 寒さから身を守る。
- 必要以上に体力を消耗させない。
※働きすぎて疲れたり、夜更かししたり、ストレスを溜めたりするのは良くありません。
※体を冷やすのもいけませんが、逆に温まりすぎるのもいけません。
汗をかきすぎると毛穴が開いて、体内の「気」が汗とともに漏れ出てしまいます。
しかしながら、「夜は早く寝て朝はゆっくり起きましょう」「ストレスを無くしましょう」と言われても、現代社会においては到底ムリだという人も多いでしょう。
でも、改善できそうなところはありませんか?
忘年会・クリスマス・お正月・新年会など、たくさんの仲間が集まるとつい食べ過ぎるので、胃腸に負担をかけています。
また、冬でもアイスクリームを食べる人や、冷えたビールや酎ハイなどを飲む人がいますよね。
胃腸に負担をかけたり、お腹を冷やしたりすれば、胃腸のはたらきが悪くなり、必要な栄養がしっかり摂れなくなる可能性があります。
すると、衛気や正気が足りなくなってしまいます。
戦いに備えてお城の壊れたところを修復するように、ウイルスや花粉が襲ってくる前に活動して消費した体力を回復させる時間が必要です。
治療すべきところがある人は、この冬の間に早めに治療しておきましょう。
冬の生活を見直すことが、春先を快調に迎えるための体質改善のはじまりです。
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