親が子供に無関心。これってネグレスト(育児放棄・育児怠慢)?愛情不足が続くと、子どもの人格に悪影響が…
子どもに無関心な親が問題になっています。ネグレスト(育児放棄・育児怠慢)の種類や、子どもに与える影響を解説。愛情不足が続くと、パーソナリティ障害を引き起こす恐れが高くなります。
こんにちは、 メンタルケア心理士の桜井 涼です。
親が子どもに関心を持たないことを題材としたコミックや小説などを目にしたことがあります。
「親が子どもに関心を持たない」なんていうのは、フィクションの世界だけの話ではないかと思う人もいるでしょう。
ですが、計画外妊娠に伴う出産や離婚などのさまざまな生活背景が入り交じってくることで、現実に起こっています。
このような場合、子どもは年月と共に成長はしてきますが、心には大きな影響を受けています。
その辺りのことを見ていきたいと思います。
親がさまざまな生活背景の中で、精神的に不安定に陥ったり、別なことに興味を示したりすることで起こります。
子どもに対して愛情をかけることが第一ではなく、自分の欲求を満たすことが第一になってしまうために起きていると思われます。
これは、ネグレスト(育児放棄・育児怠慢)に当てはまる重大な問題です。
次のようなことが起こると、子どもの生活状況はがらりと変わります。
衣食住に関する部分の配慮がない状態
- 食事を与えない
- 洗濯をしない
- 健康的に住めない家の状況 など
義務教育であるにも関わらず、学校に行かせないなど、教育全般に無関心な状態
- 給食費を払わない
- 学校に必要な物を買い与えない
- 登校させない など
子どもが病気やケガをしても受診させようとしない
- 受診が必要な状態なのに、病院に連れて行かない
子どもの要求や言動などに対して反応を示さない
- 子どもの話を聞かない
- 愛情を示さない
- 目を合わせない など
保健上必要なケアをさせない
- 予防接種
- 定期検診 など
次のような状態が続くと、子どもの心は愛情が不足してしまいます。
人格形成に大きな影響が出てきてしまうこともあります。
- 自分の欲求を満たすことが先で、子どもは二の次
- 兄弟がいる場合、どちらか一方をかわいがり、もう一方は関心を示さない(厳しい)
- 愛情の示し方がわからないので、コミュニケーションを取らない など
子どもは親に愛情を持っているため、親に気に入られようと必死になります。
お腹が空いていても言わなくなったり、親がいない寂しさを訴えたら二度と帰って来なくなるのではないかといった恐怖を常に感じていたりするようになります。
たいていの場合、乳幼児期の間に母子関係において、コミュニケーションなどを積み重ねることで、アイデンティティ(自我同一性)を確立させていきます。
特に3歳頃までは、思春期におけるアイデンティティの確立に必要なコア(核)アイデンティティを確立させます。
- 出典:図解でわかる心理学のすべて,深堀 元文 著,日本実業出版社.
アイデンティティ(自我同一性)とは、自分を1つの人格として存在していると確認することで、自分と他人は違う存在だと確信することを言います。
幼い頃に十分な愛情が必要なのは、思春期・青年期と大人になっていく上で自分を見失うことなく、心も健康に成長させるためなのです。
乳幼児期に十分な愛情を持てなかった場合、「自分は愛してもらえない存在」だと思ってしまいます。
- 抑うつ状態
- 常にオドオドしている
- 無表情で無感動
- 精神不安 など
これが長い間続くと、『パーソナリティ障害』を引き起こしてしまう可能性が高くなります。
その中でも『境界性人格障害』と呼ばれる傾向が強いです。
境界性人格障害とは、対人関係や感情が不安定で衝動性が高く、同一人物に好意を持ったり、他のきっかけで憎しみを抱いたりします。
(精神的に不安定な状態が続き、自分でもどうしていいか分からなくなってしまいます。)
また、自傷行為・自殺行為を繰り返す傾向にあるとも言われています。
時には、『同一性解離障害』を引き起こしてしまう場合もあります。
これは、「愛されていないのは自分ではない」という思いから、別人格を作り出してしまう状態です。
つまり、愛されていないのは本当の自分ではないと第三者目線になり、それが別人格として成り立ってしまう状態です。
ここまでひどくなってしまうのは希でしょうが、大事な時期に子どもに愛情を与えないのは心だけでなく、子どものその後の人生をも壊してしまうことになりかねないのです。
子どもに関心がないというのは、親として育児放棄になるということを自覚しなくてはいけません。
しかし、親になったからには子どもをしっかり育てる義務や責任は伴います。
そのことを忘れることなく、しっかり育ててあげなくてはなりません。
自分の欲求を満たすことは悪いことではありません。
ですが、子どものことが第一であることを忘れないでいただきたいのです。
子どもには親の愛情が絶対的に必要です。
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