お父さんの出番!子どもが学校に行けなくなったときに、父親にできること
子どもが登校を渋ったときに、お父さんが取るべき対応とは。実際にあった2つの事例をもとに、父親が関わるときに大切なこと、子どもに言ってはいけないNGワードなどを紹介。「お父さんって仕事だけが大切なんだ」と誤解される言動していませんか?
こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。
ゴールデンウィークが終わり、運動会のような大きな行事が終わった後、疲れがどっと出て、学校を連続して休む子がいます。
それが続くと、さらに登校しづらくなり、「行き渋り」をみせる子が出てくる場合もあります。
理由はさまざまですが、この行き渋りを見せたとき、お父さんが関わることで、子どもたちが変わる場合があります。
まさに、お父さんにしかできないと言ってもいいでしょう。
今回は、面談を行っていた子の実例を2パターンご紹介します。
お父さんの言動は、子どもたちにどう響くのでしょうか。
学校へ行くのが当たり前という考え方をしているお父さんの場合、子どもが登校しないと叱ってしまうケースが多くあります。
ここで、実際にあったお話をご紹介します。
Rさん(当時12歳)のお父さんは、Rさんが行き渋りを見せ始めたときから「なぜ、他の子は学校に行っているのにお前は行かないんだ!」と言って叱ったそうです。
その後も父親は、学校を休んだことがわかるとRさんを責め、Rさんの顔を見るたびにため息をつくようになりました。
「学校に行けるものなら行っている、だけど行かれない…」とは反論できず、「自分はダメな子だ」と思い詰めるようになったRさん。
自分を責め続けた結果、不登校になってしまいました。
一方的な親の考えを子どもに押しつけて叱ることは、子どもを萎縮させてしまいます。
それが続けば、子ども自身の自己評価が低くなって行き渋りでは収まらず、不登校や家庭内暴力といったさらに深刻な事態にまで発展する恐れがあります。
上の例の他に、子どもに言ってはいけないNGワードを挙げてみます。
- 「嫌だから学校へ行かないのは、理由にならない」
- 「体調が悪くても、気の持ちようで行けるはずだ」
- 「そんな甘い考え方でどうする」
- 「お父さんだって家族のために頑張っているんだ」
- 「甘えるんじゃない」 など
また、無視したり、母親だけに任せっきりにしたりするのも、子どもの心を傷つけてしまいます。
お父さんが子どもの話を聞き、理解を示す。
それで、子どもの心はかなり救われます。
次に、実際に子どもが救われた例をご紹介します。
Mさん(当時13歳)は、クラスに馴染めず行き渋りを繰り返していました。
心配したMさんの母親は、父親に相談したそうです。
Mさんのお父さんは、朝仕事に出かける前にMさんの暗い表情を見て、「具合でも悪いのか?顔色が少し良くないな。今日は休んだらどうだ」と声をかけることから始めました。
その日のMさんは、「安心して休めた」と嬉しそうでした。
その夜、仕事から帰ってきたお父さんは、「具合はどうだ?」と言いながら、お土産に買った甘い物を手に、Mさんのところへ来てくれました。
その場には他の家族もいたこともあったのでしょう、「何か困ったことや、話したいことがあったらいつでも聞くからな」と言って、それ以上聞き出そうとすることはありませんでした。
後日、仕事が休みの日に、お父さんはMさんを散歩に連れ出しました。
そのとき、Mさんは、学校生活がつらいという話を父親に打ち明けることができたのです。
話を聞いたお父さんはすべてを受け入れ、「今までがんばっていたんだな。もう無理しなくていいぞ。勉強は家でもできるんだから。Mはこれからどうしたいとかあるか?」と言ってくれました。
その後も、相談に乗ってくれたり、学校に行ける日は途中まで一緒に行ってくれたりしたそうです。
Mさんは、その後、毎日登校できるようになりました。
お父さんは、一家の大黒柱で家庭を支えるために日夜働いています。
ですから、疲れてもいるでしょう。
そのため、「子育てはお母さんが中心」のようになっている家庭が日本では多いですよね。
ただ、お父さんが子どもにもっと関わると、子どもはより元気になります。
なぜなら、父親の言動から「お父さんは自分を見ていてくれる」ということがわかれば、子どもは自分に自信が持てるようになるからです。
男性は、結論を出すことを重視する傾向にあります。
そのため、原因や理由、解決策などの具体的な話をしてしまいます。
「学校に行かない理由は何か」「原因を取り除くためにはどうする」といった具合です。
これは必ずしも悪いことではありませんが、そのように対応された場合、子どもにはきつく「お父さんはわかってくれない」と感じるでしょう。
大切にしたいのは、共感です。
- 「話を聞くよ」という前向きな言葉
- 話しやすいような空間を持つ
- 子どもを否定せずに認める
- 夫婦で協力する など
このような前向きな言動が大切になります。
ここで子どもが感じるのは、「自分を見てくれている」というメッセージ。
このメッセージが、子どもの心を楽にします。
「お父さんって仕事だけが大切じゃないんだね」
実例2のMさんが、私にそう話してくれたことがあります。
その表情は、照れくささとうれしさが入り混じり、何かを感じ取ったようでした。
お父さんにもいろいろな考えがあるでしょう。
知ってほしいのは、子どもの気持ちを聞き、共感することです。
そして、認めてあげてください。
家族のために仕事を頑張っているお父さん、たくさん経験をしてきたお父さんだからこそ、できる部分なのです。
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