子供の「指しゃぶり(指吸い)」原因と心理!指をしゃぶるのはいつからいつまで?大人になっても治らないのは癖?やめさせるのは逆効果!
子どもの指しゃぶりの癖を直したいなら、無理やりやめさせるのは逆効果!その根底には、寂しさが隠れている場合が…。指しゃぶりをしてしまう原因と上手な止めさせ方を解説。指しゃぶりが歯並びなどに及ぼす悪影響についても紹介。
こんにちは、 メンタルケア心理士の桜井 涼です。
お母さんのお腹の中にいるときからしていると言われる「指しゃぶり」ですが、ある程度の年齢になっても続いていると、「止めさせなくては…」いう気持ちが親として強くなってくると思います。
それに、歯並びへの影響なども考えるでしょう。
その辺りのことについて、小児科の先生に話を聞いてきました。
指しゃぶりをするのには、大きく分けて2つの原因があります。
それが、「寂しさ」と「入眠の際の儀式のようなもの」です。
入眠への儀式のようなものというのは、理解ができると思います。
しかし、なぜそのようなことをするのか、寂しいと指をしゃぶってしまうのかを考えてみましょう。
この2つに共通するのは、『安心感への欲求』です。
心を落ち着けるために行っていると考えることができます。
実例を出してお話ししたいと思います。
私が学習塾講師だった頃、生徒の中に指しゃぶりを止めることのできない高校生(当時17歳:女子)がいました。
仕切りのある個別スペースを確保し、勉強をしながら指しゃぶりをしているのを見かけたことがあります。
その時は他にも生徒がいましたので、声をかけることはしませんでしたが、後日話を聞いたところ、子どもの頃からやめられなくなっているとのことでした。
何度か話をしているうちに、彼女の家では両親のケンカが絶えないことや、居場所がないような感じがしているという話が出てきて、無意識のうちに安心感を求めているのだと思いました。
ボランティアでカウンセリングを行っている時に相談があった内容です。
5歳の女の子は、指しゃぶりが止められずにいて、親御さんが困っていると相談に来られました。
相談を受けている間中、女の子は指をしゃぶっていて、相談者さんが気づくたびに指を口から引っ張り出すようにしていました。
話を聞いていくうちに、3歳年上のお兄ちゃんがいるそうで、そっちに手がかかってしまい、おとなしく自分のことをしっかりやれるその女の子のことが後回しになってしまいがちだということがわかりました。
しゃぶっている指に傷があったようで、そこから炎症を起こしてしまって受診したこともあったということでした。
指しゃぶりをすること自体を「悪い癖では?」と思われる人もいるでしょう。
ですが、無意識下で寂しさを感じていることがあるのだということを知ってもらいたいです。
親からしたら、指しゃぶりが及ぼす歯並びなどの口周辺への影響も気になることでしょう。
お話しを聞かせてもらった小児科医からは、次の7つの影響が考えられるとのことでした。
- 前歯のかみ合わせが合わなくなる
- 出っ歯になる
- 上下の奥歯が横にずれる
- 舌っ足らずな話し方
- 唇がめくれたようになる
- 食べるときにくちゃくちゃと音が出てしまう
- 口呼吸になる
どのような影響が出るかは、指しゃぶりの強度や頻度などで個々に違ってきますし、まったく問題ない子もいます。
あくまでも可能性があるということではありますが、長く続けて指をしゃぶってしまう場合は、こういった症状が出やすい傾向にあるようです。
実際に、上述の高校生も前歯が少し反っているようでしたし、5歳の女の子は指が化膿してしまったということを考えますと、少なからず影響していると思います。
3歳を過ぎる頃になると、人に見られて恥ずかしいという気持ちが出てきます。
特に保育園や幼稚園に入ると、友達に指摘されることもあるので、恥ずかしさから自然とやめるようになる場合もあります。
たいていは、5歳を過ぎると自然となくなってきます。
ですが、5歳を過ぎても止められない場合は、寂しさや心のざわつきを強く感じていることが大きいかもしれません。
例えば、次のような理由が考えられます。
- 園が変わった(担任の先生が変わった)
- 下に兄弟ができた
- 仲良しの友達がいなくなった
- 親との関わり合いに希薄さを感じている など
寂しさを紛らわせるために無意識にやっているので、無理に止めさせようとするのは逆効果です。
「○○くん(ちゃん)の指はおいしいの?お母さん(お父さん)にも味見させて!」などと声をかけて、本人に気づかせてあげることから始めるといいのではないでしょうか。
その他には、寝るときに手を繋いであげたり、いっぱい抱きしめてコミュニケーションを取ったりと、寂しさを少しずつ取り除いてあげるようにしてみましょう。
大切なのは、子どもに指を吸っていることを意識させてあげることと、親が子どものことを見ている・気にかけていることを示すことの2点です。
指しゃぶりは、癖だという人もいます。
確かに癖のように見えるかもしれません。
ですが、その根底にあるのは、寂しさや空虚感など。
これらを埋めようとして無意識に動いてしまっているということです。
人には愛情の欲求があります。
個々によって、愛情を感じる「うつわ」が違い、親が「愛情をかけているのになんで?」と思うこともあるでしょう。
少しの言葉かけで満足ができる子と、「うつわ」からあふれ出るくらいの愛情を欲する子がいます。
指しゃぶりを全否定し、無理矢理止めさせようとするのではなく、安心させることを第一に考えていくと、早い段階で止めさせることができるようになると考えています。
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