フリーランスでは契約書必須!トラブルを防ぐビジネス書類のすすめ
契約書や注文書、請求書がない。フリーランスで働く人にとって、ビジネス書類は取引トラブルをなくすために必須です。納品後の支払い拒否や値切りを起こさないために覚えておきたいビジネス知識をご紹介します。
こんにちは、ビジネス法務コーディネーター®行政書士の大森靖之です
クリエイター共通のお悩み「値切り」
「発注者の意向に沿ってきちんと仕事をしたのに、納品後に制作料金を値切られるのを防ぐにはどうしたらよいのか?」ということが、クリエイターの共通のお悩みであるように感じています。
そこで今回は、クリエイターをターゲットに、契約に関する共通のお悩みと、「泣き寝入り」をしないで済むような方法をご紹介したいと思います。
なお、クリエイターの中でも主にデザイナーをターゲットして書いておりますが、クリエイター共通のこととして読み進めていただいて差支えありません。
それでは、値切られないようにするためにはどうしたらよいでしょうか?
その前に、「値切られてしまう原因」を考えてみたいと思います。
これまでに様々な分野のクリエイターの方々とお話をしてきましたが、その原因として大まかに次の二つが浮かんできます。
- 発注者が初めから「額面」通りに支払うつもりがない
- 発注者が制作物に「納得」しない
これは本当によくある話で、支払うつもりがない発注者ほど、「口約束」で済ます傾向にあるようです。
「言った言わない」の話に発展すると「悪意」のある発注者の思う壺。
そういう発注者は「証拠がなければクリエイター側が弱い」ことを知っています。
こうしたことがないように、業務着手前までに契約書を締結して、「額面」の合意をして証拠を残し、自己防衛を図るべきです。
発注者が制作物に「納得」しない原因はどこにあるのでしょうか?
それは、制作物の「ゴールイメージ」が共有できていないところにあると考えられます。
発注者とクリエイターとの間のイメージがぴったり合っていれば、発注者は気持ちよく納得してくれるはずです。
ですが、ここで難しいのは「イメージ」ということ。
発注者とクリエイターがそれぞれの頭の中で思い描いている段階では、共有はできません。
仕様書のような形式できちんと言葉にして(言葉にすることが困難な場合には絵コンテやスケッチにして)、「カタチ」のあるものとしてイメージ共有をしておく必要があります。
このコラムをお読みいただいているクリエイターの方々は、「個人」としてご活躍されておられる方も多いかもしれません。
ですが、「個人」とはいえ消費者ではなく事業者であるということを忘れてはなりません。
事業者であるならば、自分のことは自分で守らなければ誰も守ってくれない(自己責任)というのが、法律の世界の常識です。
自分を守るための武器となるのが、契約書です。
やはり「額面」と「イメージ」の共有ができたら、契約書を作成して、相手にハンコを押してもらうようにするのが「泣き寝入り」を防ぐための王道です。
しかし、「業界の慣行的に、契約書を結んでくださいとは言いづらい」というお話もよく耳にします。
そのような場合、「発注書を出してください」であれば、少しは言いやすいのではないでしょうか?
「発注書」というタイトルであっても、相手のサインやハンコがあれば、通常は契約書と同じ法的効果が発生します。
「発注書」には、最低限こんなことを書いておくとよいでしょう。
何を制作するのか、何をデザインするのか。
ケースに応じて仕様書、絵コンテ、スケッチなどを添付して、可能な限り詳細に記載しましょう。
相手の指示による納期の延期について。
消費税込みの金額か消費税抜きの金額なのかもハッキリさせておきます。
銀行振込の場合は、手数料をどちらが負担するのかまで記載すると、なお良いですね。
明確にしておきましょう。
時間と労力をかけて素晴らしい制作物を創り上げても、発注者から代金が支払われなければ苦労が報われませんし、発注者にいつまでも「納得」してもらえないのは、気持ちのいいものではありません。
その後の創作意欲にも、影響してきてしまうのではないでしょうか。
このコラムを読んでいただいたのも何かのご縁かと思います。
この機会にぜひ契約書面を整備され、無用トラブルに巻き込まれる可能性を極力排除し、クリエイティブな活動に全精力を使っていただきたいです。
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