大人にも多い?発達障害「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の症状・特徴チェック・治療方法

大人になって、自分がアスペルガー症候群などの発達障害ではないかと疑う人が増えています。今回は「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の症状・特徴チェックリスト・仕事・治療方法を解説します。

執筆者: 藤田洋子 職業:心理カウンセラー
落ち着きがない、注意力散漫…もしかしてADHD?

こんにちは、心理カウンセラー藤田洋子です。

 

今回は、「注意欠陥多動性障害(ADHD)」についてです。
どのような症状と特徴があるか見ていきましょう。

 

発達障害の種類

自閉症:知的障害がある ⇒知的障害を伴う発達障害「自閉症」の特徴チェックリスト!症状・治療・付き合い方
アスペルガー症候群: ⇒大人の発達障害「アスペルガー症候群(AS)」に多い性格・特徴チェックリスト
注意欠陥多動障害:ADHD ⇒大人にもいるかも?発達障害の1つ「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の症状・特徴・治療方法
学習障害:LD ⇒大人にも多い「学習障害(LD)」とは?発達障害の一種「LD」の原因・症状・特徴チェック

 

 

発達障害「注意欠陥多動性障害(ADHD)」とは

注意欠陥多動性障害とは、不注意、落ち着きがない、集中力が持続せず、自分自身ではコントロールが困難になる症状のこと。
意識が散漫になり、集中力が途切れ、衝動が抑えられず突発的に動きます。

 

 注意欠陥/多動性障害(ADHD)の定義 <Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder>

 

(平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より抜粋)
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

 

参考 文部科学省.“主な発達障害の定義について”.平成21年以前.http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm(参照2017-07-21).

 

ADHDは子供の頃のしつけが原因ではない

親の躾けや環境の影響ではなく、脳に障害があると言われています。

一般的に、子供は飽きやすく、集中力が続かないということが多かれ少なかれあります。
ですが、ADHDは、生活全般においてこのような症状が出る為に、日常生活や集団生活に支障をきたします。

「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の原因

注意や行動をコントロールする脳の働きの偏りが関係していると言われています。


また、脳の神経伝達物質(外の刺激を脳に伝達する為の物質)であるドーパミン、ノルアドレナリンの働きが不足していることがわかっています。

「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の特徴

「不注意、多動性、衝動性」の3つの症状が顕著にみられます。
現われ方には個人差があり、どれかが強く出ている場合や重なって症状が出ます。


また、大人の場合には、不注意と衝動性が強く見られ、集中力が持続せず、物忘れなどが頻繁にあり、日常や仕事などに支障をきたす場合が多くあります。

1.不注意
  • 集中力がない
  • 物忘れが多く、物をなくす
  • ぼーっとしてるように見える
  • 行動が他の子よりも遅れる
  • 片づけられない
  • ルールを守れないことが多い

 

2.多動性
  • 落ち着きがない
  • 授業中に歩き回る
  • 身体を動かすクセがある

 

3.衝動性
  • 衝動性が抑えられない
  • 大声を出したり、人に手を出したりする
  • 考えるより先に行動する

 

発達障害でよく聞くのが「アスペルガー症候群」ですが、ADHDもアスペルガーも、どちらも自閉症圏の発達障害です。

ですから、ADHDの特徴とアスペルガーの特徴が重複するところはありますし、自閉症的なところがあります。

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)のチェックリスト

ADHD(注意欠陥多動性障害)に多いチェックリストをまとめてみました。
もちろん、当てはまるからといってADHD(注意欠陥多動性障害)であると安易に判断はできません。

 

☑ 携帯、財布、家の鍵など大切な物を忘れたり、失くしたりすることが多い。

 

☑ 携帯を持ってきているが、カバンの中で迷子になり、どこにあるかよく探すことがある。

 

☑ 会議やじっとしている場面ではとても疲れる。

 

☑ 計算の繰上りが苦手である。

 

☑ 何かをしている時に用事を頼まれて席を立つと、用事が終わってから前にしていた仕事を忘れてしまい、やりっ放しになっている。

 

☑ 子供の頃は人懐っこく、誰とでも仲良くなれる方であった。

 

☑ 子供の頃、ケガが多く、じっとしていられないことが多かった。

 

☑ 思い立つとすぐに行動に移したくなる。

 

☑ 対人関係のコミュニケーションは決して苦手ではないが、よく理解できていないことが多く、早とちりや勘違いからトラブルになることがある。

 

☑ 思い付きでしゃべることが多い。

 

☑ 社交的な方である。

 

☑ 好きなことは仕事でも苦にならず、常に仕事を引き受ける。

 

☑ 思ったことをすぐに口に出してしまい、後で後悔をする。

 

☑ 約束時間などにはルーズで、遅れることが多い。

 

☑ 浪費家で、何とかなると思い、欲しい物をついカードで衝動的に買ってしまう。

 

☑ 貯金をしようと思うが、なかなかできない。

 

☑ 所持金が少なくても不安にならず、旅行にも行ける。

 

☑ 注意が散漫になり、あちこちに目移りする。

 

☑ 常に色々なことを考えるのが楽しい。

 

☑ 事務仕事は苦手な方である。

 

☑ 誤字や脱字などが多い。

 

☑ 人から天然などと言われ、面白いと言われることが多い。

 

☑ 電車を乗り間違えたり、道に迷うことがよくある。

 

☑ 電話を掛け直すと言いながら、すっかり忘れて相手から連絡が入ってくる。

 

☑ 片付けが苦手で家や部屋が散らかっている。

 

参考 もしかして発達障害?ADHD(注意欠陥多動性障害)症状のチェックリスト

 

「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の診断と治療
診断は医療機関で行う

診断は病院でのチェックリストに沿って、幼児の場合は親からの聞き取りをします。
他に知能検査や脳波の検査も行い、検査の総合的な判断により、診断の確定をします。

小児科や児童精神科などで診断、治療を受けることが出来ます。
大人になり気づいた場合には、精神科、精神神経科、診療内科になりますが、自前に電話で診てもらえるかどうかを確認してからが良いでしょう。

 

各都道府県の発達障害者支援センターなどで相談が出来ます。

 

一般社団法人 日本自閉症協会 発達障害者支援センター一覧

 

治療は薬と療育で行う

治療には、薬と療育があります。

療育とは、障害を持っている場合に、社会的に自立することを目的とする医療と保育、訓練することを言います。

気づかずに大人になり、自分なりの工夫などで軽減されている場合があります。
医師のもとでの診断にも違いが出て来る場合がありますので、セカンドオピニオンなどで対応すると良いでしょう。

 

ADHDが疑われる児童に対する学校の反応は?
学級崩壊の原因は…

1990年代の後半、学校での集団教育において、小学校低学年の生徒が教師の言うことを聞かず、教室で勝手な行動をしたり、教室から許可なく退室してしまうなどの問題行動が目立ち、授業が成り立たない状況がありました。
そのことをマスコミが「学級崩壊」という言葉で表現しました。


もしかしたら、そのような子供たちの中に注意欠陥多動性の子供がいた可能性も否めません。

 

ADHDが疑われる児童の調査なども?

現在では、幼稚園、保育園時代から小学校へ上がる際に、注意欠陥多動性の症状などの聞き取り調査などを行うところもあります。


集団生活を乱す行動が見られたり、他の子供に与える影響などを考慮してのことと思われます。

 

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)傾向の方におすすめの仕事
興味のある分野の接客業

人当たりもよく、また交友関係も多く、人付き合いは上手なADHD傾向の方は、好きな分野の接客業も向いているようです。

 

出張が多い仕事

フットワークが軽いため、出張が多いような仕事も特に苦にはならなくこなしていけると思います。

 

向いていないのは事務的な仕事や、興味のないことを仕事にするパターン

一人でコツコツと作業をするような事務的な仕事や、好きな分野以外での仕事はなかなか難しいかもしれません。

あくまで興味のあることの中で選ぶ方が、ストレスがなく仕事を続けられるのでお勧めです。

 

一方、アスペルガー症候群傾向の方は、仲間で仕事をするということにストレスを感じやすく、どちらかというと組織で働くのは向いていないと考えられます。

 

参考 【大人の発達障害】ADHD(注意欠陥多動性障害)やアスペルガー傾向がある人におすすめの仕事内容・職業は?

 

大人になって気づくことが多い、発達障害のこと

発達障害を持っている方には、稀な才能を発揮する場合があります。
エジソン、アインシュタイン、ビル・ゲイツ、坂本竜馬もADHDだったと言われています。


弱点や欠点を悪いものとかだめなものと認識するのではなく、克服するためにどのような工夫や対処の仕方を身に付けていくかという前向きな思いが大事だと思います。

障害を持っている人たちが自立するためには、周りの支援が必要です。
偏見や差別のない社会を作る為にも、お互いを理解し合うことが最も大切なことだと思います。

 
 コラムニスト情報
藤田洋子
性別:女性  |   現在地:北海道札幌市  |   職業:心理カウンセラー

主婦であり、パートの仕事を持ちながら、心理カウンセラーとして活動しています。
コーチング、うつ病アドバイザーの資格を持ち、カウンセリングに取り入れています。
アダルトチルドレンの回復、人間関係などの相談を中心に、主にメールカウンセリングをしています。
心の在り方についてブログ更新中です。

HP http://counselinghappyulyses.jimdo.com/
ブログ きららの心理 http://ameblo.jp/happyulysses

 

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