人との距離感が掴めない。アダルトチルドレン(AC)にとっての「心理的境界線」とは
友達や恋人など、人との距離感が掴めない、距離感が分からない…。アダルトチルドレン(AC)にとっての「心理的境界線」を解説します。
こんにちは、心理カウンセラー藤田洋子です。
アダルトチルドレン(AC)は、人との境界線が引けず、他者に対して介入し過ぎるという傾向があります。
そして、他者との適度な距離感がつかめない、分からないという思いに苦しみます。
アダルトチルドレン(AC)にとって、境界線とは何かについてお話ししていきましょう。
例えば「土足で踏み込む」という言い方をする場合がありますね。
「他の人には踏み込んで欲しくない」と思う自分の領域に入られた時に使われる言葉です。
気持ちや感情や精神的なものに対して、踏み込まれたくないということです。
境界線というと、相手との間にきっちりと線を引き、そこからは入らない、入れないというイメージを持たれるかも知れません。
解りやすい言い方をするのなら、「親しき仲にも礼儀あり」と言われるように、相手を尊重する気持ちを持ち、立ち入っていい場合とそうでない場合を見極めることです。
ここで言う境界線とは、いわゆる土足で相手の領域に踏み込まないための線を引くということです。
また、土足で踏み込まれないために線を引くのです。
アダルトチルドレン(AC)が人との距離感が分からないのは、いつも心に土足で踏み込まれていたからです。
機能不全家族の中では、子供自身が考えて行動するべき問題に対し、親がいつも介入し、子供の思いとは違う親の価値観を押し付けられて来ました。
親の価値観を押し付けられると、自分の価値観をすべて否定するよりありません。
何事も親の価値観で判断し、行動していく以外に選択肢はありませんでした。
それは、自分であって自分でないという状態になるのです。
そのため、大人になり、他者との距離感が分からなくなり、どのような対応をすることが正しいことなのかと常に考えます。
人にはそれぞれの自分の領域と他人の領域があります。
自分の領域とは、自分が責任を取る必要のある事柄です。
相手の領域とは、相手が責任を取る必要のある事柄です。
共依存の関係のDVは、境界線がどちらも引けていない典型的な状態です。
暴力を振るう側は、自分の思い通りにならない時、暴力で相手の領域に踏み込みます。
暴力を振るわれた側は、現実を直視出来ず、相手との境界線が引けないために、何とかしようと相手の領域に踏み込みます。
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暴力を振るうのは、自分自身の問題です。
それをやめることが出来るのは本人だけなのです。
ですから、境界線を越えて、相手を変化させることは難しいのです。
暴力を振るう側も振るわれる側も、「自分が責任を取れる事柄においてだけ」対処することが出来るのです。
人は、誰かの人生を代わりに生きることは出来ません。
基本的な領域とは、相手の問題と自分の問題を区別することが出来るということです。
また、相手の思いと自分の思いを区別することは、自分の限界を知ることです。
過度な介入は、関係を難しいものにしてしまいます。
相手が望んでいるのであれば、手助けをする、援助をする、出来る限りのことをしてあげたいという思いは健全な思いです。
ですが、問題を解決するのは、いつも本人だけが出来ることなのです。
誰も代わりに解決してあげることは出来ません。
もし代わりに解決しようとするなら、境界線を越えて、相手の領域に踏み込むことになるのです。
踏み込まれた側は、自身での解決出来る力を奪い取られます。
踏み込んだ側は、問題を解決出来ずに相手をコントロールしようと躍起になります。
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部下に過干渉してくる「マイクロマネジメント上司」の心理と付き合い方境界線と共依存は切り離せない問題です。
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