管理職は残業代・休日なしでOK!?管理監督者になるための要件定義 (2/2)

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
「勤務態様」についての判断要素

下記1は管理監督者性を否定する重要な要素、2~3は管理監督者性を否定する補強要素となります。

 

1. 遅刻、早退等に関する取扱い
遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる場合。
ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の支払において、労働時間の把握や管理が行われる。

 

これらの観点から、労働時間の把握や管理を受けている場合については、管理監督者性を否定する要素とはならない。


2. 労働時間に関する裁量
営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合には、それらの者の業務に自ら従事しなければならないなど、長時間労働を余儀なくされ、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合。

 

3.部下の勤務態様との相違
管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事しているなど、労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が、労働時間の大半を占めている場合。

 

「賃金等の待遇」についての判断要素

下記1~2は管理監督者性を否定する補強要素、3は管理監督者性を否定する重要な要素となります。

 

1.基本給、役職手当等の優遇措置 
基本給・役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金規定が適用除外であることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠ける恐れがあると認められる場合。

 

2.支払われた賃金の総額

一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数・業績・専門職種等の特別の事情がないにも関わらず、他店舗を含めた当該企業の、一般労働者の賃金総額と同程度以下である場合。


3.時間単価 
実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合。

 

特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となる。

 


以上、管理監督者性を否定する要素を上げましたが、これに当てはまらないからといって、すぐに管理監督者になるという判断は危険でしょう。

 

労働基準所では、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務様態等の実態により判断をするとの見解です。

 

おわりに

法律上の管理監督者になるには、高い要件が求められます。

一般の事業会社の課長になった途端、すぐに残業代を支給しないのは危険ですね。

 

今一度、貴社の管理監督者の基準と、法律が求める管理監督者の基準を照らし合わせて、労務リスクがないか確認して頂く機会になれば幸いです。

 
 コラムニスト情報
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