1分前に出社すればセーフ? いつも会社に遅刻する社員への対策・対処法
こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀です。
4月の中旬を過ぎると、新卒入社の方たちも、少しは会社に慣れてきます。
そんな慣れて少し気が緩んだ時に起きやすいのが、寝坊による遅刻です。
例えば、私が担当したお客様の会社では、試用期間を2ヵ月と定めていましたが、この2ヵ月を過ぎたとたんに遅刻をするようになった新入社員がおり、困っているとの相談を受けたことがあります。
今回は「遅刻をたびたび行う社員を指導するには、どうすればいいの?」について、考えてみたいと思います。
遅刻を繰り返す社員の中には、始業時刻のギリギリに出社して、遅刻ではないと主張する者がいます。
この場合、まず、就業規則上の始業時刻を確認することが必要です。
例えば、平日8:30が始業時刻としますと、8:29にタイムカードを打刻されている場合です。
人事担当者からしてみると、始業の8:30には間に合っており、就業規則違反に該当していない為、注意を行いたくても、根拠となる理由がないかも知れません。
しかし、始業時刻とはタイムカードの打刻時刻ではなく、業務開始する時刻です。
つまり、業務を開始できる準備が整ったのちの時間ということになります。
その意味では、タイムカード上では間に合ったようでも、仕事をする準備が出来ていなければ遅刻として取り扱われることになるでしょう。
そこで大切なことは、「準備が整い業務を開始する時刻こそが、始業時刻である」とする、始業時刻の定義を、従業員に周知していることです。
定義し周知されていることで、従業員から「8:29にタイムカードを打刻したわけだから、遅刻ではない」との主張があった際、これに反論することができます。
つまり、わが国では「実労働時間主義」がとられているのです。
何度注意指導しても、遅刻が繰り返される場合には、就業規則上の懲戒処分を検討することになります。
通常、「度重なる遅刻」は懲戒処分の対象になります。
就業規則上の懲戒事由は、概ね次のように規定されています。
懲戒の種類とその懲戒事由の適用は、以下のとおりとする。
(1)訓戒、譴責、減給および出勤停止、降格
次の各号の一に該当する場合は、情状に応じ、訓戒、譴責、減給、出勤停止または降格に処する。
但し、行為の程度が著しく重い場合には、(2)に定める処分に処することがある。
1. 正当な理由なく無断欠勤、無断遅刻、無断私用外出を重ねたとき
(2)諭旨退職、懲戒解雇
次の各号の一に該当する場合は、情状に応じ、諭旨退職または懲戒解雇に処する。
1. 会社の定める諸規則に違反し、その行為が複数回に及ぶかその程度が重いとき
このように、上司の注意を聞き入れず、態度も悪い新入社員の場合、試用期間満了後(正社員)になったとしても、就業規則の解雇規定において、上記で紹介した内容の規定があれば、解雇の対象にもなり得ます。
また、懲戒処分としないまでも、普通解雇事由に該当すればそれを選択することも考えられます。
しかし、注意する管理者自身が、自分の仕事で忙しく、遅刻を見ぬふりしたり指導を怠ったりしていたケースがあるとしたら、管理職の指導力不足が問われかねません。
「社会人の常識は、説明しなくても分かるだろ」と思われる方が多いと思いますが、いつの時代でも新入社員は、当たり前のことが分かっていないところからスタートするものです。
早めに出社しなければいけない理由、遅刻してはいけない理由、遅刻すると予想される時点で電話を入れるなどの対応をしなければいけない理由は、説明をする必要があるでしょう。
それでも、改善されない場合は、改善する意思がありませんから、解雇を視野に入れた対応が必要となります。
注意・指導しても改善されない場合、身体の健康に原因があるケースも考えられます。
今まで一度も遅刻をしてこなかった社員が、急に遅刻を繰り返すようになったら、メンタル面に支障をきたしている兆候も考えられます。
仕事、個人的なストレスを抱えていないか、簡単な面談を行うなどの措置が必要となるでしょう。
アルバイトが多い業種だと、初勤務日に出社しないとか、遅刻、無断欠勤が多々あることは聞きます。
最近では、正社員でも、学生気分が抜けないのか、遅刻を繰り返す新入社員が毎年1人・2人いて、頭を悩ませている人事担当者を見る機会も多くなりました。
遅刻常習者が問題なのは間違いありませんが、ただ叱っていても解決しない場合もあります。
その原因が何か、考えてみることが大事です。
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