アパレル販売の接客のコツを紹介。基本的なマナーから、話しかけるタイミング、ファーストアプローチの例などの接客ポイントまで。また、否定的な意見をおっしゃるお客様への対応方法も伝授。売れない・できないといった不安を解消します。
新年度から「ファッションアドバイザー」として働く方もいらっしゃると思います。
期待に胸が膨らみますが、反面不安もありますよね。
特に販売員は接客業ですから、ちゃんと接客できるか不安が大きい方もいると思います。
一部のブランドやお店では、各個人にノルマが課せられるため、個人売りのプレッシャーに押されたり、上司の小言や説教を聞いたりする羽目になることも。
ノルマに追われてばかりでは、気持ちだけ焦って接客どころではありません。
新人とはいえ、いつまで許されるかも不安ですよね。
もし接客が不安な方は、次のような点に注意したり、参考にして頂ければと思います。
まず、接客の基本は「笑顔」です。
ムスっとした顔や不機嫌そうな顔では、お客さんも相手にしてくれないでしょう。
「あの店員、感じ悪いな…」で終わります。
笑顔が苦手な方は、鏡で練習してみましょう。
少し恥ずかしいですが、接客のためには意外と必要です。
自然な笑顔が理想ですが、仕事は仕事、と割り切るなら、もちろん営業スマイルでも問題ありません。
販売員に求められるのは「コミュニケーション力」だけではありません。
「場の空気を読みとる力」も必要です。
接客を嫌がる人も少なくありませんし、ゆっくり見たいお客さんもいます。
逆にフィッティングルームを探している人など、接客が必要な場合もあります。
その場の雰囲気を読みとり、適切な応対をできるよう心がけましょう。
お客さんへのファーストアプローチは最も重要です。
このアプローチ次第で接客の成否が決まると言っても過言では無いでしょう。
空気を読みつつ、話しかけるタイミングには気を付ける必要があります。
もちろん入店してすぐ話しかけるのはNG。
お店は飲食店ではありません。
自然な流れを意識するべきですが、実はこれが一番難しいです。
一声掛けてから一旦離れるなど、臨機応変な対応が求められます。
- 「お探しのものがあればいつでもお声掛けください」
- 「どうぞゆっくりご覧ください」
- (商品をじっくり見ている時)「試着の際はお声掛けください」 など
ファーストアプローチの方法は色々あります。
嫌がる人も多いですが、いきなり商品説明から入ったほうが良い場合もありますし、アプローチの方法に正解はありません。
以後の接客に影響するため、経験を積んで慣れ、感覚を掴んでいきましょう。
声を掛けた後、カルガモ親子のようにお客さんの後ろをくっついてくる店員も少なくありません。
ですが、それを嫌がるお客さんのほうが圧倒的多数です。
お客さんが求めているならまだしも、一声掛けた後、すぐベッタリくっつく接客は避けるべき。
一声掛けた後、お客さんからアクションがあれば別ですが、基本的に距離は置きましょう。
しばらく「様子を見る」ことを心がけるべきです。
声を掛けてすぐ接客へ入る方法は、大半のケースでNGです。
まず嫌がられますし、お店に入りづらい雰囲気を出してしまいます。
お客さんにリラックスして商品を見てもらえるよう、ベタベタくっつくことは止めましょう。
お客さんとトークするときの重要なポイントがこれです。
誰でも自分の意見を否定されるのはイヤですよね。
これは接客でも非常に大切で、否定的な意見でも、しっかり肯定することが重要です。
例えば、こんなお客さんの否定的な意見があります。
- 「値段が高すぎない?」
- 「デザインがダサい」
- 「布が薄くて透けそう…」
- 「コーデが難しそう」
このようなことを言われた時、どう答えるべきでしょうか。
「そんなこと無いです」「違います」と、とっさに言ってしまえば、たちまち空気が悪くなる場合も。
逆にお客さんからのアプローチとも取れますので、そこからセールストークや接客に繋げるチャンスです。
商品知識が問われる場面でもあり、販売員の力量の見せどころです。
「確かに値段が高いですよね。ではこちらなどいかがでしょうか?(別商品を提案する)」
「はい。当ブランドでも価格が高めの部類に入ります。ただ素材に○○を使用して(価格が高い理由とメリットを交えて説明)」
「そうですよね。私としては、お客様にはこちらの商品がお似合いかと思います(別商品を提案する)」
「お客様のおっしゃる通り、そのままでは透ける可能性があります。こちらは少し薄目の布地を使っていますし、ぜひインナーを合わせてみてはいかがでしょうか(レイヤードの提案をする)」
→「確かにコーディネートで迷うと思います。こちらは組み合わせ次第なので、例えばこのようなコーデが考えられます(コーデ提案へと繋げる)」
このように、様々な提案へと繋げるきっかけになります。
×「そうでしょうか?私は好みです」
×「そんなことは無いと思います。当店でも売れ筋の商品で~」
こんな風に否定から入ると、嫌な感じがしませんか?
どんな場合でも、否定は止めましょう。
否定を肯定する、あるいは欠点を説明し、利点へと繋げるトークが有効です。
目を見て話すのって、少し恥ずかしくありませんか?
まして知らない人の目を見て話すとなると、よほど慣れていないと難しいかと思います。
とはいえ、接客は相手を見て話すことが重要で、商品や別の方向ばかり見ていたら、「この人は話を聞いてくれない」と思われる可能性があります。
でも、目を見て喋るのは苦手…。
それなら、お客さんの鼻の辺りを見て話しましょう。
ご存じの方もいると思いますが、様々な場面で役立ちます。
これは販売の接客でも有効です。
目から相手の感情を読みとることもできますが、ちょっと恥ずかしい…。
でも鼻ならどうでしょうか?
意外に話しやすくなりますよ。
商品説明ばかりする店員は、良い店員とは言えません。
会社のプレゼンとは違います。
分かりやすく、簡潔な説明を心がけましょう。
売りたいがために長々商品の説明ばかりしていると、お客さんも飽きます。
もし自分が同じことをされたら、嫌ではありませんか?
販売の接客では、いかにトークを盛り上げるかが重要なファクターとなります。
商品説明ばかりでは、絶対盛り上がりませんよね。
あくまで筆者の主観ですが、雑談とセールス(商品説明)の割合は、7:3あるいは8:2程度が望ましいかもしれません。
すぐ帰られたからといって、また売れなかったからと言って、凹まないようにしましょう。
ファッションアドバイザーは、モチベーション維持も重要です。
最初は全然売れず、凹むことも珍しくはありません。
ですが、慣れていないのなら、売れなくて当たり前です。
ビギナーズラックも考えられますが、その後売れない時期が続き、モチベーションが下がることもよくあります。
凹んでばかりでは接客に影響します。
何故失敗したのは振り返り、次に活かしていきましょう。
「次がある」と割り切ることも重要です。
販売員の接客には正解がありません。
「接客マニュアル」のあるブランド・お店も少なくありませんが、所詮はマニュアルで、あくまで参考書レベルです。
お客さんの考え方はそれぞれ、対応もそれぞれですから、実際の接客で活きるとは限りません。
参考に留める程度が良いでしょう。
(悲しいことに、機械的なマニュアル接客を求めるブランドがあるのも実状です。)
最初は、期待に不安が勝ると思います。
ですが、慣れていけば、自分なりの接客方法が見つかるでしょう。
接客に正解は無いため、自分の答えを見つけてみてはいかがでしょうか。
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