すっぱい梅干しパワーが凄い!中医学から見た「酸味」の効果効能
酸っぱくて体にいい食材として有名な「梅干し」の効果・効能を解説します。中医学や薬膳では、食べ物の味を5種類に分け、「五味(ごみ)」と呼んでいます。今回は、この中から「酸味」の性質を紹介。
こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。
中医学や薬膳では、食べ物の味を5種類に分けます。
これを「五味(ごみ)」と言います。
味の種類によって、科学的な分析法がなかった時代でも、食べた時の味の種類によって、その食べ物の性質をある程度推測していました。
- 酸味(すっぱい)
- 苦味(にがい)
- 甘味(あまい)
- 辛味(からい)
- 鹹味(塩からい)
今回は、この中から「酸味」について解説します。
梅は梅干しとして食べることが多いと思いますが、その味は「酸味」の食べ物です。
梅に限らず、酸味の食べ物には、だいたい共通した性質があると考えられています。
一つは、収斂作用と言います。
汗が出すぎるのを防いだり、下痢を抑えたり、体液を体に留めようとする性質があります。
次に、緊張やストレスを緩和させる作用があります。
ですから、緊張やストレスを感じてイライラしているときは、酸っぱいものを食べたくなることがあります。
肝臓の働きを助け、疲労回復を高める
また、酸味のものは、肝臓の働きを助けます。
老廃物の分解や代謝を促進して、疲労回復の効果があります。
お酒を飲むときに、酢の物を好んで食べる人もいますし、女性は妊娠すると酸っぱいものが欲しくなるというのもこの理由からだと考えられます。
では、次に梅・梅干しに絞って効果を見ていきましょう。
唾液は、食べ物の消化を助けるだけでなく、口内の粘膜が傷つくのを防いだり、口の中をキレイに保ったりするために必要なものです。
唾液が少ないと、口臭の原因にもなります。
梅干しの酸味は、唾液の分泌を促して、口の渇きを収めます。
これを読んでいるだけで、すでに唾液が溢れてきた人もいるかもしれません。
のどが乾燥して咳(空咳)が出るときには、お湯や暖かいお茶に梅干しを入れて潰しながら飲むと、のどの潤いが保て咳が鎮まります。
梅干しを口に含むと、まず唾液がしっかり分泌されます。
それに応じるように、胃液もよく分泌されるようになります。
すると、空腹感を感じて食欲が増してきます。
旅館や料亭などの会席料理では、食前酒としてよく梅酒が出されます。
これは、先に梅酒を少量飲むことで、梅の酸味の効果を利用しようとするものです。
加えて、アルコールが胃の血流量を増加させるので、ますます食が進むことが期待できます。
よく知られているように、梅干しに含まれるクエン酸などの有機酸は、老廃物の分解や、エネルギーの代謝を促進させるので、疲労回復の効果があります。
胃腸の働きを高める作用と、酸味による収斂作用もありますので、疲れによって慢性的に下痢になっている人にも適します。
また、梅干しは塩分が含まれます。
塩分の摂りすぎはいけませんが、夏場で汗を大量にかくときには、熱中症予防のための塩分補給となります。
緊張やストレスで、口の中が粘ついたり、カラカラして話しづらくなったりすることがあります。
こうしたとき、水を口に含むだけでは、なかなか潤わないものです。
梅干しの酸味は、条件反射的に唾液が分泌されますし、さらに緊張が和らぎやすくなります。
会議など人前で話をするときや、スポーツの試合の前の食事に、梅干しはいかかがでしょうか。
昔から「梅干しを朝に食べると、その日の難をのがれる」と言われてきました。
普段あまり梅干しを食べる習慣がない方も、コンビニのおにぎりでも構いませんので、効果的に梅の効果を利用してみてください。
ただし、梅干しは塩分が多い食品なので、食べ過ぎないようにご注意ください。
また、胃炎などで痛みがあるようなときは、梅干しで胃酸の分泌量が増えると痛みが悪化するかもしれませんので、控えた方が賢明です。
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