派遣の待遇差をなくす!派遣会社&企業が行うべき改善ポイントとは
「労働者派遣法」の改正により、派遣労働者と派遣先労働者の待遇差も改善されようとしています。派遣と派遣先企業が行うべきポイントとは?
こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の星野陽子です。
さて、平成27年の労働者派遣法の改正により、派遣労働者と、派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るため、派遣元、派遣先、それぞれに新たな責務が課されました。
今回は、派遣元における均衡待遇の推進について、ご説明させていただきます。
派遣労働者の待遇と、正社員の待遇とでは、実態として格差が存在してきました。
このため、平成27年改正前から、派遣元は、派遣先で同種の業務に従事する労働者との均衡を考慮しながら、派遣労働者の賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生の実施を行うように配慮する義務が課されていました。
そして、平成27年改正により、派遣労働者が希望する場合には、派遣元は均衡待遇の確保のために考慮した内容を、本人に説明する義務が新たに課されました。
これは、派遣元に説明義務を課すことにより、均衡待遇の確保のための実施について説明責任が生じ、派遣労働者の方に納得して就労できるようにしたものです。
なお、派遣労働者の賃金の決定について配慮義務がありますが、この賃金の範囲は、労働基準法でいう賃金に含まれるか否かにより判断されます。
つまり、基本給のみならず、諸手当等も含まれますので、ご注意ください。
例えば、派遣先の正社員の通勤手当は「基本給と別」に支給されているけれど、派遣労働者の通勤手当は「基本給の内数」として取り扱っているケースがあります。
基本給と別に支給された通勤手当は、課税標準に含まれないのに対し、基本給の内数として支払われていると課税標準となってしまいます。
こういった労働条件の相違が、派遣労働者にとって不合理なものになってはいけませんので、十分、注意しましょう。
派遣労働者の待遇改善に向けては、派遣元と派遣先との派遣料金交渉が重要になってくるでしょう。
派遣元においては、均衡待遇を意識しつつ交渉に当たる必要があり、当然のことながら、派遣料金が引き上げられた際には、可能な限り、派遣労働者の賃金に反映するよう努めなくてはなりません。
逆に、派遣労働者と派遣先の労働者との賃金水準を考慮した結果のみにより、派遣労働者の賃金を引き下げることは、法の趣旨に反することになります。
なお、派遣先は賃金のみならず、教育訓練や福利厚生の実施等についても、均衡を考慮する配慮義務があります。
- 研修の受講
- 福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室、等)の利用
- 備品の支給や貸与、など
以上のようなことから、派遣元は派遣先に対し、派遣労働者と派遣先労働者の福利厚生等の実情についての情報提供を求める、派遣労働者の要望を聴取するなどして、実情を確認し、必要な措置を講ずるよう努めなくてはなりません。
派遣元事業主のみなさんは、派遣労働者の職務の成果や意欲等をしっかりと把握し、成果に見合った適正な賃金を決定するよう努めましょう。
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