「短時間正社員制度」という働き方。子育てや介護で労働時間は短縮できる?
こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀です。
キャリアアップ助成金というと、「有期雇用をしている社員を、正規雇用に転換すると助成金が出る」と理解をされている方が多いと思います。
実は、この助成金には、正規雇用転換コース以外にも、いくつかのコースがあります。
その中に「多様な正社員コース」というものがあります。
今回は「キャリアアップ助成金(多様な正社員コース)の中の、正規雇用労働者の短時間正社員への転換」について、お伝え致します。
「多様な正社員」という言葉は、安倍首相内閣において、日本再生会議の会合で、厚生労働大臣に対して「職種や労働時間等を限定した『多様な正社員』のモデルを確立するための施策を具体化すること」を「総理指示」として命じたときにも使われました。
「2014年10月時点で、雇用者全体に占める非正規正規労働者の割合は4割を占める」との厚労省のデータ(就業形態の多様化に関する総合実態調査)があります。
こうした雇用・処遇条件面で不安定な立場に置かれている人々に、「正社員=無限定正社員」という昔からのモデルにとどまらない新たな選択肢を設け、安心して働くことができる職場づくりを進めることが、安倍首相内閣の狙いになります。
今回のテーマについていえば、例えば、育児・介護などの事情で、働く場所や時間の制約を抱える社員に、新たな活躍の可能性を拓き、有能な社員の離職を回避することにあります。
多様な正社員制度を規定し、雇用する労働者をそれらの正社員に転換したり、新規で雇い入れたりした場合に助成されます。
1人あたり20万円(大企業15万円)。
- 母子家庭の母等または父子家庭の父の場合、1人あたり10万円加算。
- 若者雇用促進法に基づく認定事業主が、35歳未満の者を転換等した場合、1人あたり10万円加算。
所定労働時間が、次のいずれかのコースに該当している必要があります。
1日の所定労働時間が7時間以上の場合で、1日の所定労働時間を1時間以上短縮するものであること。
1週当たりの所定労働時間が35時間以上の場合で、1週当たりの所定労働時間を1割以上短縮するものであること。
1週当たりの所定労働日数が5日以上の場合で、1週当たりの所定労働日数を1日以上短縮するものであること。
- 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の正規雇用労働者であること
- 育児の事由による場合は、小学校第3学年修了までの子を養育するために利用する者であること
- 当該事業主の事業所において、当該転換日の前日から過去3年以内に、短時間正社員として雇用されたことがない者であること
- 原則、転換後に所定労働時間または所定労働日数を超えた勤務をしていない者であること
- 支給申請日において離職していない者であること
- 短時間正社員としての新たな雇入れをする場合は、支給対象事業主に新たに雇用される労働者(派遣労働者の多様な正社員としての直接雇用に該当する者を除く)
1. 短時間正社員制度のうち、当該雇用区分を労働協約または就業規則に規定した事業主であること
2. 正規雇用労働者を短時間正社員に転換する制度(次のaからcまでのすべてを満たすものに限る)を、労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定している事業主であること
a 利用事由(育児および介護以外の事由を含むものに限る)が規定されている制度であること。
b 育児の事由による場合は、次の(a)および(b)が規定されている制度であること。
(a) 養育する子が少なくとも小学校就学の始期に達するまで利用できること。
(b)3歳に満たない子を養育する労働者が利用する場合の1日の所定労働時間について、原則として6時間とする制度を含むこと。
c 予定していた利用期間を経過後、原職または原職相当職に復帰させることが規定されている制度であること。
ただし、本人が希望する場合に、異なる取扱いとする規定を設けることは差し支えない。
3. 雇用する正規雇用労働者を短時間正社員に転換した事業主であること
4. 短時間正社員に転換した労働者を転換後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して転換後6か月分(通常の勤務をした日数が11日未満の月は除く)の賃金を支給した事業主であること
5. 転換日において、対象労働者以外に正規雇用労働者を雇用していた事業主であること
6. 支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること
7. 当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事 業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合により離職させた事業主以外の者であること
8. 当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、特定受給資格離職者として雇用保険法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該転換日における雇用保険被保険者数で除した割 合が6%を超えている(3人以下である場合を除く)事業主以外の者であること
9. 上記1の制度を含め、雇用する労働者を他の雇用形態に転換する制度がある場合にあっては、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用している事業主であること
10. 当該転換日以降の期間について、当該者を雇用保険被保険者として適用させている事業主であること
11. 当該転換日以降の期間について、当該者を社会保険の被保険者として適用させている事業主であること
今回、短時間正社員コースをご紹介しましたのは、クライアント様から、正社員で勤務している社員が、短時間として働きたいとの要望を出し、会社もそれに応えたいとのことで相談を受けたからです。
職場のマネジメントにおいて、短時間勤務というニーズは、今後高くなるものだと思います。
少子高齢化と晩婚化で、親の介護のために離職を選択する人も出てくると思いますし、売り市場でもあることを加味すると、有能な人材が、家庭の事情で離職せざるを得ない状況時に、短時間勤務制度があることで、長く勤めてもらえる選択肢になることは、労使ともにメリットがあることだと考えます。
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