こんにちは、管理栄養士・ダイエットコーディネーターの水谷俊江です。
「体に良い油、悪い油って何のこと?」
「太るから油を控えないと」
スタイルを気にする方、メタボを気にする方、健康を気にする方からよく聞く言葉です。
肉の脂身と聞くと、そのまま皮下脂肪になりそうですね。
揚げ物も、油をたくさん吸っています。
例えば、ポテトコロッケ1枚の油分は約7.5g(69kcal)。
かと言って、油抜きの食生活をしてみるとお肌がカサカサになってしまいます。
潤いが不足してしまうのです。
最近、n3系(オメガ3)脂肪酸の植物油「亜麻仁油」「シソ油」「えごま油」などが体に良い油、と聞きます。
これらn-3系(オメガ3)の油、なぜ体に良いと言われるのでしょう。
前回のコラムで、常温で固体の飽和脂肪酸、常温で液体の不飽和脂肪酸について説明しました。
今回は、不飽和脂肪酸について詳しく説明します。
脂肪酸は分子の結びつき(結合)で、不飽和脂肪酸は二つに分類されます。
- 二重結合が1つ:一価不飽和脂肪酸・n-9系(オメガ9)脂肪酸
- 二重結合が2つ以上の:多価不飽和脂肪酸・n-6系(オメガ6)脂肪酸、n-3系(オメガ3)脂肪酸
一価不飽和脂肪酸のオレイン酸を多く含む油の代表は、オリーブオイル。
オリーブオイルはオレイン酸を約75%含んでいます。
二重結合が1つなので、多価不飽和脂肪酸に比べ、酸化されにくい特徴があるのです。
また、オレイン酸は善玉コレステロール値を下げずに、悪玉コレステロール値を下げる働きをするということが報告されています。
オリーブ油の他にも、ハイオレックスタイプの紅花油、菜種油なども主成分はオレイン酸です。
- n-6系のリノール酸:コーン油、大豆油、ゴマ油など
- n-3系のα-リノレン酸:亜麻仁油、しそ油、エゴマ油など
- EPA、DHA::魚の油
分子構造
一価不飽和脂肪酸であるn-9系(オメガ9)脂肪酸の分子構造について、オレイン酸を例にして説明しましょう。
n-9系(オメガ9)脂肪酸というのは、最初から数えて9個目の炭素に二重結合があるという意味。
二重結合が9番目に1つだけあるので、一価不飽和脂肪酸・n9系脂肪酸ということです。
多価不飽和脂肪酸
一方、多価不飽和脂肪酸は2つ以上の二重結合があり、最初の炭素から3番目にあるものが、n-3系(オメガ3)脂肪酸、6番目にあるものがn-6系(オメガ6)脂肪酸と呼ばれます。
必須脂肪酸
多価不飽和脂肪酸の代表的な脂肪酸は、n-6系(オメガ6)のリノール酸、n-3系(オメガ3)のα-リノレン酸などです。
これらは必須脂肪酸と呼ばれ、細胞膜やホルモンを作るために不可欠な脂肪酸です。
体の中で合成できない物なので、食べ物から摂取しなくてはなりません。
n-6系はお菓子や加工品によく使われる
しかし、n-6系は、植物油、スナック菓子や菓子パンなどの加工品で使われることが多く、n-6系とn-3系の摂取バランスが崩れ、生活習慣病やアレルギーの原因に繋がる懸念されています。
油の摂取量目安
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準2015年版」から、摂取量の基準をご紹介します。
- n-6系(オメガ6)の1日の目安量:成人男性10~11g・成人女性は8g
- n-3系(オメガ3)の1日の目安量:成人男性2.1~2.4g・成人女性は1.6~2.0g
n-6系(オメガ6)は、植物油にすると大さじ1杯が13g。
上記の基準でみると、男性は大さじ1杯弱。女性は大さじ2/3杯位ですね。
しかし、調理で使われている植物油の量はと言うと、例えばとんかつ1枚には約15g、チャーハン1人前には約13g、カレーライス1人前は約19gの油が使われています。
他にも、スナック菓子やお惣菜などで知らず知らずのうちにn-6系脂肪酸を多くとってしまっています。
これが、n-3系(オメガ3)の亜麻仁油が体に良い油と言われる根拠ですね。
n-3系(オメガ3)脂肪酸の内、EPAやDHAなどの魚の油も見ておきましょう。
- イワシ1尾(140g):4.5g
- サバ(100g):1.5g
- さんま1尾(200g):8g
おわりに
みなさんは、1日にどのくらいの油を摂っていましたか?
どんな油でも、カロリーは同じ大さじ一1杯(13g)120kcalですが、油を選びながらダイエットしましょう。
n-3系を増やしたら、n-6系は減らすということもお忘れなく。
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山本小枝子
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