日比谷線の車内BGMとして選ばれたのはどんな曲?癒やしの音楽で、電車移動が快適に!?
東京メトロは、日比谷線の一部車内でBGM放送を流す試みを開始。ここでは、「流れている曲」や「癒やしの曲をBGMとして流すことで期待できる効果」について紹介。採用されているクラシック音楽3曲は、実際にどんな曲か聞くことも可能です。
こんにちは。ピアニストの小川瞳です。
今回は、実際に使われている癒し曲をご紹介します。
2018年1月29日から、日比谷線の社内にBGM放送の試みが始まりました。
中目黒駅から北千住駅の間に、クラシック音楽やヒーリング音楽などが流れているのです。
Wikimedia Commonsより引用
通勤ラッシュの時間帯を避けた「10時半~13時半」の3時間のみですが、乗客に癒しを提供することを目的として、高音質のステレオ放送システムを活用したスピーカーが、癒しの音楽を放送しています。
ちなみにこの列車は2016年12月に導入されたもので、当時から将来のイベント利用を考えて作られています。
放送されている曲は、静かでゆったりとした美しいメロディーが、聴き手の心を優しく包み込むような楽曲ばかり。
今の段階で使われているのは、次のような曲です。
- ドビュッシーの「月の光」、ショパンの「ノクターン」、メンデルスゾーンの「春の歌」といったクラシック音楽
- 長野光浩氏作曲のヒーリング音楽
音楽の力でリラックスできたり、精神が安定したりすることが、痴漢撲滅につながるのでは?という意見も出ていて、音楽が環境に及ぼす効果が発揮されそうです。
また、音楽にはマスキング効果というものもあり、BGMがあることによって、雑音が気にならなくなるというメリットもあります。
つまり、近くの人たちの会話や赤ちゃんの泣き声など、無音状態だと不快に感じる可能性のある音でも、癒しの音楽が流れていると、その存在が消えてくれる可能性が高くなるのです。
「なぜ音は、感情を刺激する唯一の感覚であるのか」
哲学者のアリストテレスは、このことを深く考え続けたそうです。
言葉のない音楽、メロディだけでも、音楽は感情を伴っています。
ですが、色やにおいでは、人はなかなか感動を覚えることはできません。
そこで導き出された結論は、「音楽を聴いて反応する脳の場所に、その理由がある」というものでした。
音楽を聴くと、大脳辺縁系が反応するのです。
この大脳辺縁系とは、意欲、記憶、自律神経の活動に関与している部分なので、「やる気が起きない」というとき、「頭がぼーっとして記憶力が低下している気がする」とき、「なんだか自律神経がうまく活動していないかも」というときは、大脳辺縁系の働きが悪いのかもしれません。
そんなとき、音楽を聴いて脳の中の大脳辺縁系を刺激してあげると、精神的にも満たされてきたり、脳の働きが向上したりする可能性が高いことが、明らかにされているのです。
このような音楽の持つさまざまな作用が近年ますます認められてきていて、音楽を積極的に日常生活に取り入れようとする動きがあります。
日比谷線でBGMが使われ始めたのは、その一例です。
今はいろいろな媒体から、簡単に音楽を聴くことができる時代です。
もしよろしかったら、まずは日比谷線に採用されているクラシック音楽の三曲、ドビュッシーの「月の光」、ショパンの「ノクターン」、メンデルスゾーンの「春の歌」を聴いてみませんか。
ドビュッシーの「月の光」
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ピアニストとして東京や茨城を中心に、ソロの演奏会やオーケストラとの共演など、数多くの演奏活動を行っております。
音楽心理士の資格も持ち、トークコンサートやコンクールの審査員もつとめております。
また長年に渡り執筆活動も並行して行っており、小説を3作品出版しております。
こちらのサイトでは、幼少時よりピアノを学び続け、クラシック音楽の世界に身を置く私ならではのコラムを執筆できたら、と思います。
よろしくお願い致します。
小川瞳 公式ホームページ https://ogawahitomi.amebaownd.com/
小川瞳作曲 笑顔のBGM
https://youtu.be/Qrt-stZPTb8
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