こんにちは、リングプランナーの飯田馨です。
人は誰でも、美と価値と個性を兼ね備えた指輪を身につけたいと思うはずです。
特に、婚約指輪や結婚指輪は愛情に深く関わっています。
しかし現代では、素材、飾り、装飾、ファッション、ステータスなどデザインが注目されています。
これは指輪のデザインにも同じことが言えると思います。
そこで、指輪の歴史を振り返りながら、その時代に、どんな意味の込められたデザインが人気だったのかをご紹介したいと思います。
歴史上、はじめて指輪を結婚の証拠としたのは、9世紀のローマ教皇ニコラウス1世の時代です。
1027年、「そこでは、花婿は花嫁に金のリングを、花嫁は花婿に鉄のリングを交換している」(ミュール『ローマのマリッジリングの起源』)との記録が残っています。
11~13世紀には、キリスト教の広がりとともに、「神への契約のしるし」としての指輪交換の儀式が教会で行われました。
その教えは、"結婚により神と契約を結ぶことによって、男女は生涯結ばれるのである"というものでした。
輪は「永遠の象徴」であり、「超自然的な力が宿っている」と言われていて、ふたりの愛を守る神秘的な力があると信じられていました。
指輪のデザインは、シンプルが主流でした。
古代ギリシアの時代では、男性たちが愛の証として、指輪に熱い言葉を刻み込んだり、愛の女神エロスをベゼルに描いたり、愛しい女性の名前を刻み込んでいます。
その中でも「ヘラクレス・ノット」は、最も強い結び目=きずなの象徴として人気がありました。
また、指輪に結び目をデザインしたヘラクレス・ノットは、結婚後に花嫁の衣装を自分が解くことを暗示させる意味もあったそうです。
2世紀頃のローマ時代になると、裕福な家庭では、金や銀の婚約指輪を用意しています。
デザインも愛の言葉を刻み込んだものだけではなく、多様化してきます。
例えば、二つの握り合う手をモチーフとし、結婚する誓いを表現したのがフェデ・リングです。
信頼、忠実を意味するこのフェデ・リングは、12世紀には多くの人々に用いられるようになり、それから数世紀に渡って受け継がれる事になりました。
17世紀では、人気のあったのは、ポージー・リング。
リングの裏側に短い愛の言葉や名前、詩などを刻み込みました。
1668年のサミュエル・ピープスの日記によれば、彼の叔母は「ダイヤモンドのついたマリッジリングをとても自慢にしていた」、また「ロースト・ラムができあがるまでの間、ロジャー・ピープスのリングに、どんな詩を刻むかを家族みんなで考えた」と書いています。
当時、リングに刻む詩を何にするかは人々の関心の的でした。
18世紀には、愛のメッセージの頭文字に合致する名前のカラーストーンを、複数組み合わせて指輪に仕立てる指輪が登場しました。
これが、ロマン主義時代の当時、もっとも人気の高かった指輪「リガード・リング」です。
リガード(REGARD)とは、「好意」を意味する言葉です。
この5つのアルファベットに、ルビー(Ruby)、エメラルド(Emerald)、ガーネット(Garnet)、アメシスト(Amethyst)、ダイヤモンド(Diamond)の頭文字を組み合わせて、自分の想いを表現しました。
指輪はいつの時代でも、愛に裏打ちされた固い絆の象徴を表すためにデザインがあったということです。
そのことを理解した上で、美と価値と個性を兼ね備えた、指輪のデザイン選びをして頂きたいと思います。
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