スマホ・デジタルカメラで天体写真を撮ろう!月や星、星雲撮影の魅力を紹介

執筆者: 宇都 正明 職業:天体観測アドバイザー・星空案内人
はじめに

はじめまして、こんにちは。

このコラムでは、星空の見どころや天体写真の紹介、撮り方などを紹介させていただこうと思っています。


今回は、デジタルカメラで身近になった天体写真ということで、作例を交えながらご紹介していきます。

デジタルカメラで身近になった天体写真

天体写真というと特殊な道具やテクニックが必要で、難しい写真だと思われる方も多いかもしれません。

確かにそういう面があることは否めないのですが、デジタルカメラの進歩と、パソコンでの画像処理(フォトレタッチ)によって、昔よりも、簡単にかつ綺麗な天体写真が撮れる様になってきました。


フィルムを超えるISO感度設定や、ライブビュー、メディア容量さえあれば、撮影枚数を気にする必要がない、撮ったその場で確認することで、失敗を防止できるなど。
デジタルカメラのメリットは測り知れません。


とりわけ、天体写真は、基本的にはのんびりした写真であり、その場で結果を確認して撮り直しできるケースが多く、デジタルカメラで得られる恩恵は他の写真よりも大きい面があります。


また、デジタルカメラのメリットとして、画像処理(フォトレタッチ)がパソコン上で容易にできる点も挙げられます。
天体写真ではどうしても、基本的に露出不足という状況になるため、パソコン上で修正が効くということは計り知れないメリットとなる訳です。

 

手持ちで撮影した南十字星

 

写真は、飛行機の窓ごしに撮影した南十字星です。
手持ちでの撮影でしたが、ISO6400に設定し、シャッタースピードは1/2秒。
多少のブレはありましたが、10コマ程撮影してブレが少なかった画像から、レタッチをして仕上げました。


手ブレ補正や高ISO感度設定が実用になったことで、赤道儀(※地球の時点に合わせて、モーターで追尾していくシステム)などの特殊な道具が無くても、天体写真を楽しめる時代になりました。
また、望遠鏡を目で見る変わりに、スマートフォンの内蔵デジタルカメラで覗かせてあげると、月のクレーターなどもバッチリ撮影できます。

スマホによる月の写真

 

この辺りの撮影については後に説明していきたいと思っています。

パロマ天文台の写真を自分の手で

天体観測分野では、民生に先駆けてCCDデジタルカメラが15年以上も早く使用され、成果をあげてきました。

例えば、1986年に地球に接近したハレー彗星をいち早く検出・撮影したのはCCDカメラで、1982年のことでした。
もちろん、ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡には、CCDイメージセンサを用いたデジタルCCDカメラが使われています。

天文台で使われているデジタルカメラは、一般的なデジカメとは少し違いますが、天体写真とデジタルカメラというのは、とても相性が良いのです。
子供の頃に宇宙の図鑑で見た様な、迫力ある天体写真。
それがいまや、デジタルカメラの進歩のおかげで、個人のアマチュアが所有する望遠鏡でも楽しめる時代になっています。

ドーナツ星雲M57

 

渦巻銀河M63


口径30cmの反射望遠鏡に冷却CCDカメラ(天体写真専用デジタルカメラ)を取り付けて私が撮影した写真です。

かつては、図鑑でしか見れなかったガス星雲のディテールや、遙かなる小宇宙の渦巻の様子など、フィルムの時代ではとうていアマチュアでは撮影できなかった写真が、いまや一個人の天文アマチュアが有する望遠鏡で撮影できるようになりました。

それも、かつてのパロマ天文台による写真と同等以上のクオリティで。

これは、趣味としては俄然面白くなってくるわけです。
天文台でしか撮影できなかった写真が、努力次第で、自分の手で同等以上の写真が撮れるのですから
これほど楽しい事はありません。

おわりに

デジタルカメラのおかげで、天体写真はより手軽に、より美しく撮ることが出来るようになってきました。

手軽な撮影については、今後、撮影の仕方や注意点などご紹介していきたいと思っています。

 
 コラムニスト情報
宇都 正明
性別:男性  |   職業:天体観測アドバイザー・星空案内人

銀河鉄道999や、ボイジャー2号の写真などで、子供の頃から宇宙に興味を持って以来、天文に興味を持ちました。
デジタルカメラのおかげでアマチュアでも、図鑑の様な写真が撮影できる様になり、すっかりとのめり込んでしまいました。
星空の魅力を伝えていければと思って、天体観望会のお手伝いなどもしています。