部活動中の熱中症に注意!スポーツや運動時における熱中症の症状・予防・応急処置
理学療法士の高田彰人です。
近年、温暖化の影響もあり、夏の平均気温も年々上昇傾向にあります。
それに対して、夏休みに入ることで練習量が大幅に向上するスポーツ選手が多いようです。
今回は運動時における熱中症についての内容です。
大量の発汗に対して水だけを摂っていると、Na欠乏を引き起こして足がつるなどの症状が生じる。
皮膚血管拡張によって、血圧低下や脳血流量の減少を引き起こす。
症状としてはめまい、顔面蒼白などが生じる。
全身倦怠感、脱力感、めまい、吐き気、頭痛などが起こる。吐き気などで水分がとれない場合は点滴を検討する。
高体温に加えて、意識障害があり、全身の多臓器障害が生じるなど死亡率も高い。
WBGT(湿球黒球温度)は、熱中症の予防には重要と言われます。
WBGTは、暑さ寒さに関係する気温、湿度、輻射熱、気流のうち、気流を除いた3因子を取り入れた指標です。
その数値が31℃を越えると、全般的に運動は原則中止とされ、28℃を越えると体力の低い者、暑さに慣れていない者を含めて運動中止となり、市民マラソンなども原則競技を行ってはなりません。
近年では熱中症予防のためのWBGT計も比較的安価で売られています。
- 学校管理下での熱中症死亡者の9割が、部活動中に発生している。
- 持久走やダッシュの反復中に生じることが多く、4割は練習開始から2時間以内で生じている。
- 高校生が7割と多く、特に下級生が多い。
- 性別では男性が9割と圧倒的に多い。
- 死亡例では7割が肥満者であった。
- 7月下旬から8月上旬が多い。
- 夏以外でも急激に温度が上昇したときに多い。
- 下痢、発熱、過度な疲労などの体調不良時に多い。
これらの危険因子を把握しているだけでも、熱中症予防に対して強い意識づけとなり、発生を防止できることに繋がります。
熱中症を予防するため、以下の環境を整えましょう。
- 正午から正午過ぎなどの暑い時間の運動はなるべく避け、休息にあてるように努める。
- 水分補給は長時間の運動を行う際は水ではなく、スポーツドリンクなどのナトリウムを含む水溶液を摂ると良い。
- 運動による体重減少は2%以内に努める。
- 激しい運動を行う場合には30分に1度は加えるようにする。
- 体調不良や状態がおかしいと感じたら無理をさせずに休息をとらせる。
- 直射日光を避け、吸湿性や通気性の良い素材を選択する。
熱中症が疑われる場合は、以下の応急処置を行いましょう。
- とにかく冷やす。40分以内に冷却すれば合併症や命の危険は少ないといわれる。
- 氷水などをかけると血管が収縮してしまい、熱の放散を抑えてしまうこともあるため、常温の水をかけて、うちわで扇ぐ。
- 太い血管のある首、脇、足の付け根などを冷却する。
- 応答が鈍い、言動がおかしいなど意識障害が疑われる場合には、救急搬送を検討する。
参考文献
1) 公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト,健康管理とスポーツ医学.
2) 公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト,予防とコンディショニング.
3) 熱中症予防のための運動指針,日本体育協会.
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【資格】
理学療法士
認定理学療法士(スポーツ理学療法)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
日本コアコンディショニング協会マスタートレーナー
【トレーナー活動歴】
土浦日本大学高等学校
茨城県立取手松陽高等学校 男子バスケットボール部
茨城県立取手第二高等学校 男子バスケットボール部
茨城県少年男子国体バスケットボールチーム
車椅子バスケットボール 日本代表選手
【研究分野】
体幹機能
バスケットボールの障害
足関節捻挫
疲労骨折
肉離れ
【所属学会】
日本理学療法士協会
日本整形外科スポーツ医学会
日本臨床スポーツ医学会
日本コアコンディショニング協会
【コンセプト】
①監督‐選手‐トレーナーの共通理解の徹底化
②トレーニングと障害予防の融合
③アウターマッスルとインナーマッスルの共同
【トレーナー目標】
日本が世界では通用しないと思われているスポーツ分野の底上げ
【ブログ】
バスケ選手のためのトレーニング理論
http://ameblo.jp/arinco-power55/
【アドレス】
g.torini.9@gmail.com
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