なぜオレンジは地中海で量産されるのか?オレンジの歴史と文化
スペインやイタリア、ギリシャなどの地中海沿岸の国々では、オレンジがたくさん生産されています。
今回は、地中海とオレンジとの関係について、少しお話したいと思います。
苦いオレンジの木
オレンジの木は、街路樹としてもよく街角でみられますが、それらは苦いので食べられません。
過去にスペインでは、収穫してマーマレードを作り、英国へ輸出したりしていました。
現在はスペイン国内のみの販売で、輸出はしていません。
よく見ると、葉っぱの根元が二重になっているのがわかります。
これが街路樹の、苦いオレンジの葉っぱの特徴です。
オレンジはその昔、アラブ人がイベリア半島へ持ち込んだものです。
もともとは、ハーレムに植えて香りを楽しんだり、鑑賞用とされていました。
野生の柑橘からスイートオレンジが誕生し、それが中国南部まで伝わります。
15世紀の大航海時代、東洋にやってきたポルトガル人により、ヨーロッパへ伝えられました。
その後、地中海品種として「バレンシアオレンジ」が生まれたのです。
19世紀、地中海品種のオレンジが、新大陸アメリカへ渡りました。
カリフォルニアとフロリダに伝わったものから、突然変異で生まれたのが「バレンシアオレンジ」です。
この突然変異を発見したのが、スペイン出身の農家の人でした。
そのオレンジは、母国バレンシア地方のオレンジに、よく似ていました。
彼は懐かしさから、バレンシアオレンジと名付けたそうです。
そんなわけで、アメリカ生まれのオレンジに、スペインの地名がついたのです。
今ではバレンシアオレンジは、スペイン・バレンシア地方の特産です。
見渡す限りの広大なオレンジ畑は、見事です。
収穫は2〜3月に行われ、この時期にはスーパーや八百屋さんに安く出回ります。
ドライブインのバーカウンターでは、機械にオレンジをポンポンと丸ごと入れた、搾りたてジュースを出してくれます。
スペイン語では「スーモ・デ・ナランハZumo de naranja」といいます。
割ってみると中は紫がかっていて、まるで血のような色をしています。
しかしその見かけとは違って、とても甘い美味しいオレンジです。
こちらもドライブインに行くと、搾りたてジュースを出してくれるので、ぜひ飲んでみてください。
イタリア語では、「スプレムータ・デ・アランチャSpuremuta d’Arancia」といいます。
ビタミンCたっぷり、搾りたてのオレンジジュースの味は格別です。
スペインやイタリアを旅したら、ぜひお試しください。
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