ワインラベルの収穫年から分かる、美味しいワインの選び方 -中編- (1/2)
皆さん、こんにちは。イタリア共和国トスカーナ州在のソムリエ鈴木暢彦です。
今回は「知識がなくても分かる、ワインの選び方その2」です。
今回は、ワインラベルに記載される“収穫年の数字”から得られる情報の重要性について、ご説明していきたいと思います。
それでは早速、例を出して考えていきましょう。
例えば、あるワイナリーがAというワインと、Bというワインを造っていたとします。
Aは2013年ヴィンテージ、Bは2010年ヴィンテージのワインです。
皆さんが某ワインショップでA (2013年)とB(2010年)を手に取った時に、これらをどういうワインだと想像するでしょうか?
どちらが良い年だったのだろう。
こう考える方も多いかも知れませんが、ソムリエが考えるのはそのことではありません。
まずA2013に関してですが、現在2014年に2013年のワインを手にしているということは、そのワインは前年度に収穫されたブドウで醸造され瓶詰され出荷したということです。
これは言わば、最近(去年)までブドウだったワインですので、最もフルーティーでフレッシュなワインということが容易に想像出来ます。
生産者がワインAを造り、すぐに出荷しているということを見れば、木の樽で熟成する工程はなく、(したとしてもごく短期間で)早いうちに楽しむことが可能なワインということが分かります。
つまり、そのワインの売りや長所というのは、フル―ティーさと瑞々しさという部分になり、生産者はワインを寝かせて熟成させるのではなく、早く飲んで欲しいというメッセージのもと、市場に売り出している可能性が高いということになります。
この場合、このAというワインは、木の樽の影響や年数による酸化熟成もありませんから、ブドウの味わいがストレートにフレッシュな状態で味わえるシンプルなワインです。
同様にBのワインについてですが、2010年にブドウを摘み、ワインを醸造したところまでは同じような工程です。
もしかしたら生産者は翌年2011年に、このワインBをワインAと同じように早く飲めるワインというメッセージのもと市場に出荷し、その後2014年までは3年間ワインショップで売れずに残っていたという可能性がないこともないですが、常識的にはないと考えて良いでしょう。
つまりBに関しては、ワインが醸造されてからしばらくワイナリーで熟成・貯蔵され、数年後に出荷されたという可能性が高いということになります。
なぜすぐに出荷されずに数年後に出荷されるのか、これにはもちろん理由があります。
それがいわゆる生産者のメッセージです。
日本では、ワインというと寝かせてから飲むべきものというイメージがありますが、先にお話したように早く飲むべきワインも多くあります。
イタリアでは特に、白ワインの場合、ほとんどがAのような早飲みタイプのワインです。
それは、フルーティーさと新鮮な酸味とキレ味が、イタリアの白ワインの飲み心地の良さと需要につながっているからです。
それではすぐには出荷されない熟成される(寝かせる)ワインとはどういったもので、何故熟成が必要なのでしょうか?
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2008年 日本ソムリエ協会 ワインエキスパート取得
2009年 4月 イタリア トスカーナ州フィレンツェへ
2009年 10月 シエナにある国立のイタリアワイン総合文化施設エノテカイタリアーナにて研修
2010年 エノテカイタリアーナ ソムリエ
2014年 エノテカイタリアーナを退職
イタリアソムリエ協会 AISソムリエプロフェッショニスタ資格取 得
中心街のリストランテで働きながらワイナリーツアーなどを行う。
訪問ワイナリーは70件以上
日本のインポーターへのワイナリー紹介など
鈴木暢彦
ブログ 新イタリアワイン エノテカイタリアーナ
http://enoteca-italiana.ldblog.jp/
問い合わせ nobu.enotecaitaliana@gmail.com
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