フランス流・長い夏休みとバカンス期間の過ごし方 (1/2)
日本では社会人ともなると、夏休みという概念自体がない、もしくは貰えても数日という厳しい現実があります。
一方、「Vacances(バカンス)」という言葉の発祥地であるフランスでは、子供はもちろん社会人の多くも長期間の夏休みをとる“風潮”があります。
夏休みの何ヶ月も前からバカンスの計画を立て、バカンスを心待ちにしながら仕事をするフランス人たち。
そんな彼らの夏休みの実態を紹介します。
まず、フランスでは年5週間の有給休暇が、法律で保障されています。
そのうちのほとんどがクリスマス、復活祭、夏に割り当てられます。
中でも夏休みは休みの大本命とみなされていて、3週間以上の長期休暇をとるフランス人は少なくありません。
一昔前まではエリート階級の特権だったバカンス(休暇)は、この50年で着々と市民権を得るようになり、今では夏休みに長期間家を空けるフランス人は全体の7割に上ると言われています。
Insee(国立統計経済研究所)の統計、ラクロワ紙の記事(①)より
そんなに休んで経済が成り立つのだろうか、などと心配するフランス人はほとんどおらず、サラリーマンから町のパン屋まで挙って長期休暇を取得します。
特に8月は40%の企業が休業、パリのパン屋の半数も休業、自動車の生産は半分以下に落ち込み、公共事業にいたっては80%がストップするという統計があります。
雑学雑誌「ça m'intéresse」2014年8月号より
8月15日から25日まで休む金物屋の様子です。「Fermeture estivale(夏季休業)」。
広告がドアノブに溜まっています。
8月5日から23日までの長期休暇をとる靴屋の様子です。
「Congés annuels(恒例休暇)」とあるので、毎年この時期にとっているようですね。
ある観光地のど真ん中にある雑貨店です。「皆様もよいバカンスを」というメッセージつき。
そんな長期休暇をとるフランス人の半数近くが目指すのは、長年「夏に行きたいところ」のトップを走り続けている「海」です。
絵に描いたような海辺のバカンスを実現すべく南下します。
毎年夏になるとテレビのニュースで南仏の砂浜の様子が映し出され、それらが“理想的なバカンス”であるかのように紹介されます。
ただし海を目指す一番の理由は泳ぐことでも、砂のお城を作ることでもありません。
フランス人が夏に求めるものは「太陽」。
晴れの日が多い南仏にたまたま海があるだけで、海はあくまでオマケ。
悪天候だと不機嫌にさえなるフランス人たちが南下するわけは、一日でも多く晴れの日を獲得するためなのです。
ちなみに、バカンス中に国内に留まるフランス人は年々増えていて、国外に出たとしても行き先の大半は近隣国のスペイン、イタリア、ギリシャ、北アフリカに留まるようです。
つまりは国外旅行でも「観光」よりも「太陽」が重要視されていると言えます。
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専業主婦(ときどきブロガー)を貫く予定が、思いがけず「フランスのスローライフ」について書く機会を与えられました。ただし、フランス語には「スローライフ」という言葉は存在しません。どんな英単語も無理やりフランス語に置き換えるフランスでこの言葉があえて無視されるのは、“フランスで生活する”ということ自体が“スローライフ”だからだと私は思います。
日本でフランスというと芸術や美食の国という印象がありますが、実際に生活してみると、それよりも何よりも人間的、いや“野生的”なフランス人たちに衝撃を受けます。バカンスのために働き、食べることに時間をかけ、人との交流を良くも悪くも優先するフランス人の生き様は、スローライフそのものだと身をもって感じるのです。
エコライフを追求するには申し分のない環境に置かれていることに感謝しながら、フランスのエコ情報を中心にフランス生活の実態をお届けします。
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