ドルコスト平均法を用いた「積立投資」の注意点と勝つための“3つの条件”

貯金・貯蓄を増やしたい!積立投資で資産を増やすための考え方「ドルコスト平均法」は、必ず儲かる魔法の方 法ではありません。投資で勝つためのルールを学び、資産を増やしていきましょう。

執筆者: 荒川雄一 職業:国際フィナンシャルコンサルタント
積立投資で勝つためには、原則が必要!

こんにちは、国際フィナンシャルコンサルタントの荒川雄一です。

さて2回に渡り、「積立投資」、そして「ドルコスト平均法」について、解説をしてきました。
「上昇している相場」、「変動している相場」、「下降している相場」と、様々なケースの中でも収益を上げられる可能性があることを、ご理解いただけたのではないかと思います。

 

“ドルコスト平均法”は必ず儲かる?

そのポイントは、「相場が“下げているとき”でも、一定額を“購入し続けて”いた」ということです。
では、「だから“ドルコスト平均法”は必ず儲かる」と言えるのでしょうか?

 

 

残念ながら、答は「NO」

“ドルコスト平均法”自体は、価格を平準化するためのものであって、その手法自体が必ず収益を約束してくれるといったものではありません。

利益を獲得するためには、「前提条件(原則)」が必要なのです。

 

積立投資を「いつやめるか」が非常に重要

ご紹介したケーススタディでは、分かりやすいように、「上昇を続ける相場、変動をしている相場、そして下降している相場」としてご紹介しました。

 

しかしながら、「下降し続けて、一度も上昇しない相場」や「上昇基調で来て、急落した相場」などでは、実は「利益」を出すことはできません。

 

“ドルコスト平均法”でも利益を出せない相場とは?

例えば、基準価格1,000円で始まって、毎月100円づつ下がり続け、半年後500円で終わったような場合、その時点では、利益を出すことはできません。

 

1,000円→900円→800円→700円→600円→500円

 

これでは、いくら毎月のユニット数が増えても、価格が「最安値500円」の状態なので、「利益」を上げることが出来ないのです。

例とした「下降している相場」のケースは、「最安値100円」の時期にユニット数をたくさん保有することが出来たため、価格が当初の60%下がった「400円」になったとしても、「利益」を上げることができたわけです。

 

下げ切った相場(底値)では利益は出せない!

整理をすると、「ドルコスト平均法を用いても、下げ切った相場(底値)では利益は出せない」ということです。
すなわち、積立投資をやめる“時期(時点)”が、非常に重要なポイントと言えます。

 

相場が“底”の状態では、絶対に市場から“退出”しない

下落相場において、株価や基準価格が下げたとしても、その時点で市場から退出しては「利益」を獲得することはできないのです。

 

“下げ相場”の時 =「仕込みの時期」と考え、積み立てを継続すること

一般的に、人間の感情として、“下げ相場”においても買い続けることは、時には「ストレス」を感じ、また「勇気」も必要といえます。


しかしながら、「積立投資」であれば、“人間の判断”とは別に、自動的に毎月買い付けを行ってくれます。
“下げ相場”の時ほど、「今は、仕込みの時期」と考え、黙って積立を続けることが重要です。

 

最低5年、できれば10年超の積立期間を推奨
「時間的」、「資金的」に余裕が必要

また、「積立投資」の場合、どこで“山や谷”が来るかわかりません。
従って、ある程度「時間的」、「資金的」に余裕がなければなりません。


私の場合、最低5年、できれば10年超の積立期間を推奨しています。

 

将来性のある国や分野に投資する!

そして、もうひとつ、「積立投資」で重要なポイントがあります。

 

成長が見込めない市場では、大きな収益が期待できない

それは、その投資対象に、“将来性”があり、5年後10年後という投資期間に応じ、“成長”が望まれる国や分野に投資を行うということです。


長い期間、投資を続けたとしても、“成長”が望めない市場では、あまり大きな「収益」を期待することが出来ないからです。

 

分散投資でリスクを軽減できる「投資信託」がおすすめ

ただし、単独の企業の株式を購入し続けるような場合は、その企業の潜在的なリスクもあるため、個人的には投資信託などでの「積立投資」をお勧めしています。

まとめ 積立投資で勝つための3つの条件

さて、ここで再度、整理してみましょう。

 

 

“ドルコスト平均法”を用いた「積立投資」を行う場合の「3大原則(前提条件)」
  1. 投資期間中、いつ“谷や山”になるか予測できないため、なるべく「運用期間」、「投資金額」には余裕をもつ
  2. 相場が“底”の状態では、勇気を持って、絶対に市場から“退出”しない
  3. 運用期間から見て、将来“成長性”が望め、最終的に「右肩上がりのトレンド」を望めるような市場、国、分野を選ぶ

 

以上の3つが、積立投資で“勝つための条件”といえます。


なお、特に初心者の方が難しいのは、3番目の「投資商品の選び方」です。
せっかく長年積立投資をしても、選択した商品が良いものでなければ、残念ながら思ったような利益を上げられないからです。

 

もし自分自身で決められない場合は、金融機関ではなく、独立した投資アドバイザーの意見を聴くことも検討してみてください。
きっとあなたに合った商品を紹介してくれるでしょう。

 

おわりに

積立投資は、少額からでもすぐに始められる投資法です。
そして、NISA(少額投資非課税制度)や401K(確定拠出年金)など、国の制度で活用することも可能です。


まずは、よく計画を立てた上で、“一歩”を踏み出してみてください。

 
 コラムニスト情報
荒川雄一
性別:男性  |   職業:国際フィナンシャルコンサルタント

投資顧問会社IFA JAPAN®株式会社ほか、リンクスグループ3社の代表を務める。現在、経営コンサルタントのほか、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。
また教育にも力を入れており、講演回数は800回以上。その他、日本経済新聞社、各マネー誌、フジTVなど執筆、出演も多数。

■ライセンス
経済産業省登録 中小企業診断士
国土交通省登録 公認 不動産コンサルティングマスター
日本FP協会認定CFP® 他

■メディア実績(執筆、取材など)
 ・日本経済新聞 、日経ヴェリタス 
 ・納税通信、税理士新聞
 ・富裕層向け雑誌「ミリオネア」「NILE’S NILE」
 ・フジテレビ「とくダネ!」、テレビ朝日「やじうまテレビ!」など

■著書
「海外分散投資入門 ―日本が財政破たんしても生き抜くためのノウハウ―」
(Pan Rolling社)
「海外ファンドのポートフォリオ」(Pan Rolling社)
「着実に年10%儲ける海外分散投資入門」(実業之日本社)
「投資のプロが教える初心者でも失敗しないお金のふやし方」(IFAメディア出版)

 

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