こんにちは、ブレインアロマコンサルタントの大塚真理です。

相手の心が全て分かる道具があったら、あなたは欲しいですか？

私達はあまり気付いていないかもしれませんが、実は汗などの体臭で相手の心が分かるのです。

デュッセルドルフ大学のパウゼ博士らが発表した論文(*1)によると「汗を介して不安は相手に伝わる。」とあります。

もちろん、不安な人と言うのはその表情や声色、または仕草から察することが可能です。

しかしパウゼ博士らの発見によれば、こうした視覚情報が一切なくても、空気中を拡散する分子を介して伝わると言うのです。

パウゼ博士らは、学位収得のための最終口述試験を控えた大学生49人を集め、試験直前の緊張した状態で流した「不安の汗」を綿布で回収しました。

また、同じ学生達から、ジムの運動で流した「スポーツの汗」も回収しました。

そこで、別の14人の学生達を集めます。

彼らに「不安汗」と「スポーツ汗」の2つを嗅いでもらい、どちらがどちらに相当するか識別してもらったのです。

正解率は51％。ほぼ五分五分で偶然のレベルでした。

両者は識別不可能と言うわけです。

ところがMRIの脳画像上では、二つの汗に対して異なる反応を示していました。不安の汗は「島皮質（とうひしつ）」などの部位を活性化させたのです。

島皮質は同情や苦痛に関与する脳領域です。

つまり不安の汗を嗅いだ人は、妙に相手に同情したり苦痛を共感しているのです。
この事から『他人を嗅ぐ』ことでその相手の感情を取り込む、と言うことが分かります。

「感情は伝染する」と言いますが、嗅覚の分野においてもそれは脳科学的に証明されるのです。

自己啓発本を読むと「夢を叶えたければ、既に叶っている人と友達になり、共に過ごすこと。」と書いてあります。

これは相手の思考や言動を自らの習慣にするためです。

更に嗅覚の分野からも「感情を共有する」と言う点において、一緒に居る相手を選ぶのはとても重要だと言えるでしょう。

ネガティブな人からはできるだけ遠ざかり、ポジティブな人を選んで付き合えば、自分をよりポジティブに保つ事ができるのです。

香りによって自他共に感情に影響を及ぼす事ができます。

この香りの作用に着眼し、みごと外交戦略を成功させたのが、エジプト最後の女王クレオパトラです。

クレオパトラはローズの香油を体にぬり、敵国の王シーザーを虜にしたと言われています。

ローズの香りは女性性を開花させ相手を魅了する働きがあります。

また美白、アンチエイジング効果もある事から、化粧品や香水にも取り入れられてきました。

このように古代から目的達成のために香りを身にまとってきたのです。

香りを取り入れて、なりたい自分を演出するアロマをご紹介します。

• 意欲的・行動的になりたい　→　レモン・グレープフルーツ
• 頭の回転をよくしたい　→　ローズマリー、ペパーミント、ユーカリ、レモン
• 自信をもちたい　→　グレープフルーツ、シダーウッド、ジンジャー、イランイラン
• 契約率を上げたい　→　ユーカリ、マンダリン、シダーウッド
• 女性として魅力的になりたい　→　ローズ、イランイラン、ネロリ、ゼラニウム
• 男性として魅力的になりたい　→　ジャスミン、ジンジャー、クローブ、ローズ

食事と同様に好きな物を取り入れるばかりでなく、自分に必要な香りを身につけるのも賢い生き方の1つです。

次回は「インフルエンザを予防し学級閉鎖を防いだ○○の香り」をお伝えします。

*1　Prehn-Kristensen,A,Wiesner,C,Bergmann,TO,Wolff,S,Jansen,O,Mehdorn,HM,Ferstl,R,Pause,BM.Induction of empathy by the smell of anxiety.PLoS One,4:e5987,2009
参考文献：『脳には妙なクセがある』著/池谷祐二