「防腐剤=肌に悪い、無添加(オーガニック)=肌に良い」はホント?スキンケアのプロが化粧品の都市伝説を徹底解説!

執筆者: スキンケアカウンセラー 松原 好克 職業:スキンケアカウンセラー
はじめに

皆さん、こんにちは。
スキンケアカウンセラーの松原好克と申します。

無添加・自然・天然・植物等の言葉は、女性なら誰しも心を躍らされます。
できるだけ肌トラブルを引き起こさないスキンケア化粧品を購入したい、そのお気持ちは痛いほど良く分かります。
その背景には「肌に優しい」というイメージ概念があります。

しかし、この「イメージによる固定概念」をリセット出来るかが、本当に良い化粧品に出会えるかの分かれ道になります。

今回のコラムでは、化粧品の本音に迫ります。

 

無添加の真実

まず「無添加」につきましては、その言葉自体空想的で、はっきりとした取り決めがないため、化粧品会社の一方的な主観となっています。


薬事法をパスするため、広告文に何が無添加なのかを表示しなくてはなりませんが、その代表的なのが「防腐剤・香料」です。

 

防腐剤についての見解

色々な化粧品会社のホームページで「防腐剤不使用」などの記載を目にしたことがあると思いますが、こういった美容成分以外の添加物は避けたいと思うのは当然の意見です。

しかし、化粧品はその日に全て使い切るわけではありませんので、製品その物の劣化を防ぐために、防腐作用が必要になります。
無添加と謳われていても、代表的な防腐剤成分が使われていないだけで、防腐効果のある別の成分が必ず添加されています。

ごく一部の人は、防腐剤(メチルパラベン等)に反応してアレルギーを起こすことがあります。

そういった人は、その防腐剤が配合された化粧品を避けるべきですが、それ以外の人にはほとんど無害です。
私が声を大きくして申し上げたいことは「防腐剤不使用」や「ノンパラベン」などと記載されているがために、それらがあたかも全ての人の肌に悪影響を及ぼすというイメージが浸透しているのです。
しかし、防腐剤その物が「万人」、いわゆる全ての人に悪影響を与えるものではありません。

 

肌への刺激やアレルギーを起こさなければ、特に気にする必要はありません。

分かりやすく例えると、防腐剤にアレルギーを起こさない人が防腐剤を避けることは、卵アレルギーでもない人が卵を食べるのを避けているのと同じこと。
もっと率直に言い換えますと、”食わず嫌い”(ある物事の真価を理解しないでわけもなく嫌うこと)という言葉が最適かと思われます。

世の中の風評に惑わされて悪者にされがちな防腐剤ですが、化粧品の品質を保つには必要不可欠な成分だということを覚えておきましょう。

また、皮膚に対する科学的な根拠データのある有用性美容成分の多くは、企業などが開発した合成品です。それらのほとんどは、効能効果を第一優先に作られているため、現存では不安定な成分が多いのが特徴です。
つまり、高価な美容機能を持つ成分ほど、しっかりとした防腐作用が必要になるというわけです。

 

香料についての見解

香料も嫌がられる傾向にありますが、防腐剤と同じでアレルギーを起こさなければ問題ありません。
意外と多いのが、化粧品に含まれている香料は肌に悪いから避けているけれど、香水は欠かせないという人。
イメージ視点の矛盾が現れている良い例ですね。

香水に比べると化粧品に使われる香料はほんのわずかですので、香料に敏感な肌質以外の人が神経質になることではありません。
逆手に取ると、世の中の女性がどれだけ顔・肌に対する意識が強いのかが伺えます。

自然成分・天然成分・植物成分の真実

自然成分・天然成分・植物成分についても同じようなことが言えます。
肌に優しい=自然・天然・植物という言葉と結び付けられますが、化粧品を口にする食べ物と同じような感覚で考えていてはいけません。

化粧品用に加工された植物由来成分を皮膚に塗布したときの反応は、複雑な化学構造になっているものほど、かぶれやすいという性質があります。
つまり、多くの成分が入り混じっているものほど、アレルギーを起こすリスクが高いということです。

 

例:アセロラエキス

”ビタミンCの王様”と言われるアセロラ(ビタミンC含有量が果物の中ではトップと言われている)を例に挙げてみましょう。
アセロラの抽出液は、不純物が取り除かれて「アセロラエキス」と呼ばれる成分に精製されます。
アセロラエキスは、ビタミンCを筆頭にビタミンA・チアミン・リボフラビン・ニコチン酸など、多種に渡る成分で構成されています。

 

確かに成分が多いほど良さそうなイメージがありますが、ビタミンCやビタミンAそのものが、100%の目的に作られた単体合成品よりも成分種類が多いため、アレルギーリスクは高くなります。

加えて、エキスとして精製される過程で、ビタミンCやビタミンAの有効成分の含有率は減少することが考えられます。
つまり、ビタミンCやビタミンAその物が100%の目的に作られた単体合成品よりも、当然、配合率は低くなります。


さらに、ビタミンCやビタミンAはそのままでは肌に作用する効率が悪いため、「誘導体」形式にした合成品の方が、はるかに効果的という結論になります。

アセロラに限ったことではなく、エキスに代表される植物成分全般に言えることです。

 

化粧品は作用性が違う

食品は、出来るだけ天然に近いもので、様々な成分がバランス良く含まれたものを摂取することが望ましいのはご存知だと思います。

 

化粧品として肌に付ける場合は、その作用性が違うということを肝に銘じましょう。

どれだけ「肌に優しい」と謳っている化粧品や「アレルギーテスト済み」と謳われている化粧品でも、必ず欄外に「全ての人にアレルギーが起きないわけではありません」と注記があるはずです。

これは、植物成分や自然由来などをアピールした化粧品に限らず、全ての化粧品に平等に言えることですので、”言葉のアヤ”に惑わされないことが大切です。

 

 

さいごに

まとめると「肌に優しい化粧品」とは、使用する化粧品に対しての刺激やアレルギーを起こさなければ、その人にとっては優しい化粧品なのです。

無添加・自然・天然・植物と謳われている化粧品が悪いということではありません。
どんな化粧品でも、全て肌へのリスクは同じであることをお分かりいただければと思います。

化粧品は予防レベルのため、乾燥以外の肌構造変化(シミやシワを消すなど)を求めることは出来ません。効果の良し悪しの判断は、使用者の一方的な感覚に委ねられます。

いかにエビデンス(科学的根拠)が高い美容成分を見極められるかが、”10年後の見た目素肌”を左右すると言っても、過言ではないでしょう。
美しく歳を重ねたいと思われる人は、是非今後もこのコラムをご覧下さい。

 
 コラムニスト情報
スキンケアカウンセラー 松原 好克
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