食文化から学ぶ大正ロマン!大正時代に発展した洋食や飲食店(カフェ・ミルクホール)、お菓子の歴史
どこか懐かしい、今から102年前の大正時代。
一体どのような時代で、どのような生活を人々は送っていたのでしょうか?
大正時代の食文化を覗いてみましょう。
- 明治時代と昭和時代の間の「14年と5ヶ月」という短い期間の時代
- 1912年(明治45年 / 大正元年)7月30日から1926年(大正15年 / 昭和元年)12月25日
- 都市に住む人口が増え、日本経済の成長、民衆の力は政治改革へと発展した時代
- 西洋文化の影響を受け、個性と自由を求め改革した時代
これら条件を満たした時代が「大正時代」と呼ばれます。
明治時代にはオープンしていた果物食堂フルーツパーラー。
当時フルーツは高級で、上流社会の人気のデザートでした。
パリのカフェをイメージし、明治時代、相次いでカフェーがオープンしました。
当時のカフェーは、女給さんがコーヒーや紅茶を運ぶ以外にも、お酒を席に着いて接客する様な形でした。
日本初のカフェーは「カフェー・プランタン」。
美術家や文学者の交際の場として作られました。
明治43年創業の不二家洋菓子店は、隣に喫茶店を新設して、洋風喫茶店を設立しました。
1922年(大正11年)に横浜伊勢崎町、1923年(大正13年)には銀座にオープンします。
温めたミルクを出すミルクホールも、学生達の間で人気を博しました。
都市部では、中流階級を中心に洋食文化が広まります。
明治時代からカレーライス、コロッケ、トンカツ、オムライスは既に存在していましたが、民衆化されたのは大正時代からです。
1918年(大正7年)、当時は「簡易食堂」と呼ばれた公設の食堂が、神田を初め、九段、本所、浅草など、東京都内の数ヶ所に設置されました。
それから5年。
1923年(大正5年)には、人口200万人余りの東京で、合計3万件に近い飲食店が営業するに至りました。
その多くが手軽に食べられるカレーライス、トンカツ、コロッケなどの日本的洋食を提供していました。
このことが、日本的洋食の急速な大衆的普及を進めたのです。
(日本食品新素材研究会誌より)
当時はカレーライスのことをライスカレー、トンカツのことをポークカツレツ、オムライスのことをオムレツライス、ビーフステーキのことをビフテキ、小麦粉の事をメリケン粉と呼んでいました。
- 1914年(大正3年) 森永ミルクキャラメル発売
- 1918年(大正7年) 森永ミルクチョコレート発売
- 1919年(大正8年) カルピス発売
- 1921年(大正10年) ブルドックソース発売
- 1922年(大正11年) グリコ発売
- 1922年(大正11年) 不二家のショートケーキ発売
- 1923年(大正12年) 森永マリービスケット発売
- 1923年(大正12年) ユーハイムバームクーヘン発売
- 1925年(大正14年) キューピーマヨネーズ発売
- 1926年(大正15年) 明治ミルクチョコレート発売
- 1912年(明治45年) 吉本興業創業
- 1912年(大正元年) 映画製作、配給会社の日活設立
- 1913年(大正2年) 宝塚少女歌劇団(現在の宝塚歌劇団)結成
竹久夢二は大正ロマンを象徴する画家です。
夢二式美人画によって世に広く知れ渡りました。
1914年(大正3年)、東京日本橋に夢二のデザインした書籍、雑誌、文具、小物を販売する港屋がオープンしました。若い女性の間で大変な人気を博しました。
- 1915年(大正4年) 現在のシャープの創業者早川徳次が、早川式操出鉛筆(いわゆるシャーペン)を発明し、特許を取得
- 1920年(大正9年) 松竹キネマ設立
- 1923年(大正12年) 9月1日11時58分32秒 マグニチュード7.9の関東大震災発生
明治時代からの芝居、手踊、講談、浪曲などに加えて、活動写真(明治、大正期における映画の呼称)が流行しました。
当時は、サイレント映画(無声映画)が、大衆娯楽として流行りました。
チャールズチャップリン(1889年~1977年)や「アメリカの恋人」と呼ばれたメアリーピックフォード(1892~1979年)なども、この頃に活躍しました。
日本の映画女優、栗島すみ子(1902年~1987年)は「映画の恋人」「日本の恋人」と呼ばれ、栗島のプロマイドは「1日に4000枚売れた」と言われておりました。
日本初のラジオ放送は、1925年(大正14年)3月22日9時30分、社団法人東京放送局(JOAK:現在のNHKラジオ第1放送東京。略称AK)が、東京・芝浦の東京高等工芸学校(千葉大学工学部の前身)内に設けた仮送信所から発しました。
およそ15年という短い期間だった大正時代。
多くの魅力ある古き良き文化が誕生し、奥が深くお洒落で情趣に富んだ時代でした。
現代でも人気のお菓子などは、既にこの時代から愛されていたのですね。
民衆が洋食文化を楽しみ始めたのはこの大正時代から。
飽食の時代と言われて久しい現代において、改めて私たちの周りにある食のルーツ、文化を調べてみませんか?
意外な発見があるかもしれません。
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