旅客機着地時にドスンと下りるのは…飛行機の滑走路の知られざる雑学トリビア (1/2)

執筆者: 奥之園 誠 職業:航空アナリスト
はじめに

空港といえば、皆さんとても広い場所のイメージをお持ちだと思います。

羽田空港は敷地面積だけで、大田区全体の1/3の広さと言われています。

 

空港で思い浮かべる中に滑走路があると思いますが、今回は滑走路についてお話しようと思います。

 

 

国内空港の滑走路

現在の日本国内の各空港の滑走路ですが、小型ジェット機が就航可能な滑走路の長さが1500~2000m、中大型機で2500~3000m、国際線になると、燃料の搭載量も多くなりその分離陸滑走距離が伸びるため4000mが必要と言われています。

 

羽田空港の滑走路

羽田空港は、3000mが2本(A、C滑走路)、2500mが2本(B、D滑走路)の構成となっていますが、2014/11/14からC滑走路が延長され3360mとなります。

 

たかが360メートル、羽田からアメリカ東海岸への飛行は出来ませんでしたが、滑走路延長により可能となります。

 

滑走路ってどんな材質で出来ているの?

航空機は小型機ですら30t、大型機になると200t~300t位にもなります。

離発着の多さから、当然頑丈な材質で出来ていると思いますよね。

 

一番に思い浮かべるのは、コンクリートではないでしょうか?

答えから先に言いますと、アスファルトなのです。道路と同じ材質ですね。

 

コンクリートとアスファルトの違い

ではなぜ強固なコンクリートを使わないかと言いますと、アスファルトは敷設後直ぐに固まりますが、コンクリートは固まるまで時間が掛かります。仮に滑走路の一部に欠損が出た場合、アスファルトなら数時間で硬化するので、夜中に航空機の離発着が無い時間帯に工事を行い、日中の運航に影響が出ないようにできます。

 

しかし、コンクリートでは硬化するまで滑走路が使えないということになります。

 

そのような理由で、滑走路の材質はアスファルトが用いられているのです。

しかし、道路のアスファルトとは比較にならない位、アスファルトの層は厚く作られているのです。

 

強固な滑走路作り

道路では砂利や砂の上に数㎝のアスファルトが敷かれているのが普通ですが、滑走路の場合まず基礎部分をコンクリートにし、その上に基礎を含め2~3mの厚さのアスファルトで施工します。

 

アスファルトを敷いては巨大なローラーで敷き固める、それを繰り返すことで強固な滑走路を作りだすことが出来ます。

滑走路は平面ではない

滑走路は航空機が離発着する場所なので、平面だと思う方も多いと思います。

イメージとしてスケートリンクのような、少しの凹凸も無いまっ平な場所というイメージではないでしょうか?

 

しかし、雨が降った場合どうでしょう。

まっ平なので降った雨の逃げ道がなく、滑走路が水没してしまいます。

 

ハイドロプレーニング現象

「ハイドロプレーニング現象」という言葉を聞いたことのある方も多いかと思います。

車でいうと、雨天時高速で走行するとタイヤと路面に水が入り込み、車が路面に浮く形となりブレーキの利きが悪くなる現象です。
これは、ある条件化では航空機にも当てはまりますが、現在は、さまざまな対策が講じられ、この現象が起きる可能性は低いと言われています。

 

対策のひとつとして、滑走路には、雨水対策のための仕掛けがあります。

横方向(長い方)では高低差が作られており、縦方向(短い方)では中心部分を少し高くして両脇に傾斜をつけ、更に「グルーピング」と呼ばれる溝を掘って、雨水を排水する構造となっています。
グルーピングは、ブレーキの利きを良くする制動効果の目的もあります。

 

下の図は、羽田空港のD滑走路の平面図と側面から勾配を示した図になります。

 

 

 
 コラムニスト情報
奥之園 誠
性別:男性  |   職業:航空アナリスト

航空ブロガー、航空検定1級。

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