ガラスを削り取って作る美しいクラフト工芸品「サンドブラスト」。作り方の工程と作品例を紹介 (1/2)

執筆者: 吉村凌駕 職業:ガラス工芸家 工房ベネチアンの代表
はじめに

こんにちは、ガラス工芸家の吉村凌駕です。


自分の個性やアイディアを生かせる工芸として、今「サンドブラスト」と呼ばれているガラス工芸が、秘かな人気になっています。

サンドブラストとは、ガラス等の表面に細かい砂などの研磨材を吹き付け、文字や模様を彫刻する技法のこと。

 

今回は、見栄えの良いカラフルな作品を取り上げながら、サンドブラストについて紹介したいと思います。

初めての方でも、意外と簡単にできる工芸なのです。

サンドブラストの完成作

この藤図案の作品は、ガラスに絵の具で絵を描いた物ではありません。


 

ガラスの表面を、深さを変えながら部分的に彫り込んでいきます。

そうすることで露出する色ガラスの色が変化し、出来上がる絵なのです。

 

使用するガラス材料

加工する前の外観は、全体が深緑色に見えます。



しかし、完成した作品は、4色のガラスから出来ているのが分かります。

内側からピンク、白、青、深緑の順に4層に重ねて溶着したガラス(被せガラスと呼びます)を使用。

 

サンドブラストの構造

下の画像にある、切断位置とある部分の断面状態が、その左側に示されています。

各層の色ガラスは、このように削り取られているのです。


 

つまり、作品で深緑になっている部分は、全くガラスを削っていない部分。
青色の部分は、外側の深緑のガラス層を削り取って、青色ガラス層を露出させた部分。
ピンク色の部分は、外側の深緑、青、白のガラスを全て削り取り、背景となっています。

 

このように、ガラスを削る深さを変えることにより、好みの色ガラス層を露出させるのです。

サンドブラスト作品の作り方

1.

図案を描き、裏面が粘着シートになっている、マスキング用のシートに印刷します。



2.

印刷したシートをガラス材料に貼り付け、図案の線に沿ってカッターで切り込みを入れます。

 


3.

ガラスを削りたい部分のシートを剥がし、削る部分を露出させます(深緑が露出)。


 

4.

シートを剥がした部分に、専用の機械で砂を吹き付け、ガラスを削りこみます。
最初に深緑が削れて青が出てきます。

次に、青と白を削り取るとピンクになります。

 


5.

全体が好みの色ガラスになるまで、この砂を吹き付ける作業を繰り返します。

最後に、シートを全て剥がして水洗いすれば完成。

 
 コラムニスト情報
吉村凌駕
性別:男性  |   現在地:東京 池袋  |   職業:ガラス工芸家 工房ベネチアンの代表

機械関係のエンジニアから特許技術者を経てガラス工芸家となる。
日本ブラストアート協会の初代理事。
東急ハンズ、池袋コミュニティーカレッジ、品川プリンスホテル、リーガロイヤルホテルの各出張教室講師を歴任、現在は池袋で自社のガラス工芸教室を開く一方、幕張メッセ、東京ビックサイトにも多数出店しております。
サンドブラスト、ガラス胎七宝等のガラス工芸が専門分野です。

ブログ:工房ベネチアンの公式サイト
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