子供の膝の痛み。成長痛として軽視されやすい「オスグッド病」の原因と対処法
運動好きな子供に起こる膝の痛みは、成長痛ではなく「オスグッド病」かも。「成長痛だから放置・我慢」は間違い!症状を悪化させる前に、正しい原因と対処方法を学びましょう。
理学療法士の高田彰人です。
今回は、成長期のスポーツ障害としてよく聞かれる「オスグッド病」について取り上げます。
オスグッド病は「成長痛」として片付けられてしまうことが多く、指導者などからも軽視されやすい病態です。
ですが、放っておくと剥離骨折など重症化することもあります。
それだけでなく、痛みを抱えながらプレイを継続することで、スポーツ動作の悪い癖や他の部位に痛みを生じてしまうこともあります。
そこで、オスグッド病の対処法の視点を交えながら、解説していきます。
大腿四頭筋の緊張により、脛骨粗面(膝のお皿の下)に付着する膝蓋腱にストレスが加わり、痛みを引き起こすものを言います。
日本整形外科学会HPより
9〜15歳の小中学生に起こりやすい
特に9〜15歳の小中学生に好発します 1)。
成長に従い、骨の強度が増加することもあり、高校生にはあまり見られません。
どのスポーツにも起こりえますが、スポーツ別にみると特にサッカー選手に多い疾患です 2)。
オスグッド発症者は、オスグッドにならない者と比較して、次のような違いが報告されています 3)。
- 発症以前の身長・体重・BMIの増加量が大きかった。
- 腓腹筋(ふくらはぎの筋)の柔軟性低下がみられた。
- キック動作での身体重心の後方化が認められた。
つまり、安静にしているだけでは治らない!
ただ安静にしているだけでは、重心の後方化、柔軟性の低下などの改善は難しいです。
それだけでなく、運動量の減少により、体重が増えてしまうと、さらに膝にかかる負担は大きくなります。
そのため、安静によって痛みが消失したとしても、復帰してすぐに再発してしまうことも多いのが現状です。
スポーツ現場では成長痛として軽視してしまうことによって重症化が進行し、症状が長引いてしまうことも考えられるため、まずは医療機関への受診が必要となります。
オスグッド病の原因は人それぞれですが、筋の柔軟性改善や重心の後方化、スポーツ動作指導などのリハビリテーションによって症状の原因から改善することが重要です。
「重要な大会が控えていて休めない」といった場合、テーピングやサポーターを付けて頑張ってしまいがち。
ですが、無理にプレイを継続することは、症状の悪化に繋がってしまいます。
オスグッド病は、自分の身体の中に症状を引き起こす原因が隠れているため、原因に対してアプローチすることで、スポーツパフォーマンスの向上に繋がることもあります。
オスグッド病を発症したら、悪化させないためにも、早めに治療を受けましょう。
- 参考文献
1)内山英司ほか:外来新患統計からみた成長期下肢スポーツ障害の年齢分布.日本臨床スポーツ医学会誌14(3):346-351,2006.
2)白仁田厚:中学生サッカーにおけるスポーツ障害及び外傷.整外と災外45:1246-1259,1996.
3)藤井周:日本臨床スポーツ医学会誌.22(1),22-29,2014.
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【資格】
理学療法士
認定理学療法士(スポーツ理学療法)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
日本コアコンディショニング協会マスタートレーナー
【トレーナー活動歴】
土浦日本大学高等学校
茨城県立取手松陽高等学校 男子バスケットボール部
茨城県立取手第二高等学校 男子バスケットボール部
茨城県少年男子国体バスケットボールチーム
車椅子バスケットボール 日本代表選手
【研究分野】
体幹機能
バスケットボールの障害
足関節捻挫
疲労骨折
肉離れ
【所属学会】
日本理学療法士協会
日本整形外科スポーツ医学会
日本臨床スポーツ医学会
日本コアコンディショニング協会
【コンセプト】
①監督‐選手‐トレーナーの共通理解の徹底化
②トレーニングと障害予防の融合
③アウターマッスルとインナーマッスルの共同
【トレーナー目標】
日本が世界では通用しないと思われているスポーツ分野の底上げ
【ブログ】
バスケ選手のためのトレーニング理論
http://ameblo.jp/arinco-power55/
【アドレス】
g.torini.9@gmail.com
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