トルコの治安は悪いの?トルコ旅行で気をつけることや、安全に楽しむための注意点

執筆者: Meryem 職業:添乗員(ツアーコンダクター)
はじめに

東洋と西洋、そして中東の文化が混在するトルコでは、訪れる場所により多様な歴史文化、自然景観をお楽しみ頂けることでしょう。
そんな魅力溢れるトルコは年中多くの観光客で賑わっています。世界でも毎年トップ10に入る人気の観光大国です。

 

しかし最近はテロの影響などもあり、『行ってみたいけど不安』『治安は大丈夫かな』と旅行に不安を感じている方も多いのでは?
そこで、安全にトルコ旅行を楽しんで頂くために押さえておきたいことをお伝えしたいと思います。

トルコの治安は良いの?悪いの?

トルコは世界的にもかなり治安の良い国の一つです。

シリアが隣国とは言っても、トルコの面積は日本の約2倍。普通のツアーではトルコ西半分を周遊するコースばかりなのでシリア近郊に行くことはまずありません。実際これらの観光地においてイスラム過激派のISISの影響は見られず、治安に関しても以前と変わらず良い印象です。

 

そういった国際情勢が絡むような事件に巻きこまれる確率を心配するよりも、スリや置き引き、ぼったくりなどの世界中どこでも起きうるトラブルに巻き込まれないように注意をすることの方が大切です。こういった軽犯罪は事前に心構えと対策をしておくことで、ある程度未然に防ぐことが可能です。

トルコ旅行で気をつけるポイント
1. 知らない人から声をかけられてもついていかない

 

トルコ人はとてもフレンドリーで親切。でも、知らない人に話しかけるという事はかなり少ないのが実情。突然話しかけてくる人の中には何か目的があって話しかけている場合も多いので注意が必要です。

特に、イスタンブールのスルタンアフメット地区(ブルーモスク近辺)やグランドバザールなど多くの観光客でごったがえしている場所では客引きの場合が多いので注意が必要です。

 

2. 夜間や路地などの人通りのない場所は要注意

 

昼間は治安の良い観光地でも夜になると町の雰囲気や歩いている人の層も変わってきます。また、掘り出し物や穴場を探そうと観光客の少ない路地を歩くことも危険度が上がってきます。

観光地はお土産物の物価が高いから…という理由で、地元の人が行くお店を探したいという気持ちは分かりますが、地元の人が行くお店だから安いという訳ではありません。トルコで安くものを買うには、知り合いから購入するというローカルなネットワークが必要です。初めての観光で掘り出し物を探し出すのは難しいので、欲を出し過ぎないようにしましょう。

 

また、夜に『飲みに行きたい』という方は事前に下調べをすることが大事です。現地で行き当たりばったり的にお店を探そうとすると、声を掛けられる確率が上がります。

『現地で意気投合した友達と飲みに行く』という事は一見楽しそうに見えますが、その友達を信用できるかどうかが怪しいのです。お会計の時に目が飛び出る位の金額を要求されてしまうこともあります。

 

基本的にイスラム教の国なので、お酒を飲む場所じたいが外国人観光客向けに作られており、金額はやや高めです。また、女のホステスが接待しながらお酒を提供する場所というのはそれ自体がトルコの一般的な文化から外れますので、そのような場所を探そうとすると危険度が一気に上がるのは言うまでもありません。

3. 女性は露出を控えた服装にしましょう

 

旅先でオシャレをしたい気持ちは女の子であれば当然。でも、服装を間違えるとそれだけで危険度がぐっと上がります。

基本的にイスラム教の女性は頭をスカーフで覆い、ロングスカートを着用しており、顔以外の露出がありません。逆に家の中では露出度が高かったりするのですが、これは家族以外の男性を誘惑しない為の教えとも言われています。

 

宗教上の教えから結婚まで純潔でいるべきとされているイスラム教諸国では、男女間の付き合いの難しさから、宗教と関係のない外国人と遊ぶという男性も少なくありません。そして、男性側の言い分としては『露出をしている女性側が誘惑している』という見解になってしまうため、罪悪感に駆られることもなくナンパ行為へと走ってしまうようです。ナンパからの交際は男性側に何か思惑がある場合も多い為にお勧めできません。

身構える必要はありませんが、ミニスカートなどの極端な露出は控え、パンツスタイルなどのカジュアルスタイルが無難だと思います。

 

4. スリや置き引き、ぼったくりに気をつけて

 

ヨーロッパ各地ではスリ、置き引きが本当に多いです。

しかしヨーロッパ諸国の中ではトルコは極めて安心して旅が出来る場所の一つで、スリや置き引きといった類の軽犯罪は多くありません。それはひとえにイスラム教の教えから、人の物を盗む行為が悪とされている為で、ホテルのロビーに置きっぱなしにしてしまったカバンや財布もそのまま見つかることが多い国でもあります。親切で善良なトルコ人の中でいる限り、どんなに無防備でも全く危険がないのもトルコならではの安心感です。


しかし、世の中いい人ばかりではないのは世界共通。観光地ではスリや置き引き、ぼったくりのプロが混在しています。カバンの底をナイフで切られ、落ちたものだけを拾って逃走するスリや、警察官のフリをしてパスポートと共に財布を提示するように求める偽警官も出没します。

 

また、ぼったくりや詐欺に関しては、被害に遭われた方の多くは『全然そんな風には見えなかった』と、帰国するまで被害にあったことに気付かないケースも多々あります。明らかに怖い思いをして犯罪に巻き込まれる事よりも、友達としてお付き合いしている相手に知らないうちに騙されていたケースの方が多く、それゆえに金銭的なダメージよりも心情的なダメージの方が大きくなってしまうことも。

 

観光中は、貴重品の入ったカバンを体の前で持ち、たとえ警察官に声を掛けられたとしても安易に貴重品を提示することを避けて行動しましょう。

 

安心してトルコ旅行を楽しむにはツアーがおすすめ

 

親切、フレンドリーな国民性が有名ですが、それを悪用した犯罪も多いがゆえに、親切にされていても騙されていると思ってしまっては、せっかくの旅行を楽しめなくなってしまいます。
個人旅行では信用できるバックボーンが少ないが故に、私の個人見解では『治安は良いけれど個人旅行の難しい国』の一つに挙げられると思っています。ただ、ハプニングもいい思い出と割り切って旅をするなら、いろんな意味でトルコほど面白い国はないかもしれないですね。


トルコに初めて旅行するのであれば、圧倒的に各旅行会社のツアーをおすすめします。親日国という事もあり、ツアー価格は破格的に安くなっているのでお得感もあります。ガイドさんの案内もあり、毎日違った景色を見せてくれるトルコ周遊ツアーでは前述したトラブルに巻き込まれる可能性もぐっと減ります。

お土産探しも日本・現地の旅行会社公認の指定店であれば、高くてもぼったくりに遭う心配はないのです。旅行会社など強力なバックボーンのある場所で、自分が納得できる価格まで値引き交渉を頑張った方が安心です。そこで欲を出してもっと安いものを個人で探そう、と個人志向になってしまうことの方がトルコでは犯罪に巻き込まれる可能性が上がってしまうことを知っておいてください。

 

さいごに

トルコは見どころがたくさんあり、本当に多くの魅力で溢れる国です。事前に気をつけていれば事件に巻き込まれる確率もぐっと下がるでしょう。ちょっと注意を払うだけで楽しいトルコ旅行ができると思いますので、是非お越しくださいね。

 
 コラムニスト情報
Meryem
性別:女性  |   現在地:カッパドキア  |   職業:添乗員(ツアーコンダクター)

添乗歴約10年
様々な国を旅した中で、最もフレンドリーで親日国のトルコを好きになり、今はトルコのカッパドキア地方で生活中。